├シティズンシップ教育

【2017/03/19】第4回シティズンシップ教育ミーティングに登壇させていただきました

日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF)主催「第4回シティズンシップ教育ミーティング」の分化会にて、発表の機会をいただきました。

「グローバル化とシティズンシップ教育」というテーマの分科会に話題提供者の1人としてご招待いただき、「グローバル化する社会で求められる『社会的包摂』の視点」と題してプレゼンさせていただきました。

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(写真提供:J-CEF)

わたしの発表のアジェンダ:
● イングランドのシティズンシップ教育
● 教育現場での模索と葛藤
● 英国的価値観(British Values)の促進
● 国家の統制 vs 多様性の尊重
● シティズンシップ教育に必要な視点
● 日本における今後の課題

テロの脅威や人的移動の活発化により強まるナショナリズム志向や、シティズンシップという概念自体がはらむ「社会的排除(social exclusion)」のリスクを踏まえたうえで、グローバル社会においてどうシティズンシップ教育を進めていくか?というわたし自身の問題意識を共有させていただきました。

J-CEF事務局の皆さま、分科会のコーディネーターを務めてくださった京都教育大学の水山光春教授、話題提供者としてご一緒させていただいた一般社団法人シェア・ザ・プラネット代表理事の筒井哲朗様、東京大学教育学部4年生のハンガメン様、そして分科会にご参加いただき、貴重なご意見・ご質問をいただきました参加者の皆さまに深く感謝申し上げます。

「J-CEF NEWS」第12号・特集記事に寄稿させていただきました

日本シチズンシップ教育フォーラム(J-CEF)の機関誌「J-CEF NEWS」第12号(2017年2月発行)に寄稿をさせていただきました。

 
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特集記事「シティズンシップ教育をすすめる上で何を大切にするべきか?」への寄稿のご依頼をいただき、「『社会的包摂』の視点を持って多様な価値観に触れる場づくりを」というタイトルで、見開き2ページで記事を掲載していただいております。

主に、
● ヨーロッパ諸国における「多様性の尊重」と「社会的対立」のバランスの模索
● 2014年の英国の教育省による「英国的価値観の促進」の通達と教育現場の混乱
● 「違いによって生まれる排除」を学ぶワークショップ事例
● 「社会的包摂」という視点を持ったシティズンシップ教育推進の必要性
といった内容について書かせていただきました。

同機関誌で新連載「ヨーロッパの動きから考える」をお持ちの両角達平さんも、同号についてBLOGOSで触れていらっしゃいましたので、リンクを貼らせていただきます。
働きすぎな教員をみて育っているのは誰か?

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なお、「J-CEF NEWS」は、日本シチズンシップ教育フォーラム(J-CEF)の会員になると読むことができます。

市民の社会参加やシティズンシップ教育といったテーマにご関心のある方は、ぜひ入会を検討してみてくださいね。
入会案内 | J-CEF日本シティズンシップ教育フォーラム

【2016/11/06】町田市生涯学習センターの市民企画講座で講師を務めました

町田市生涯学習センターで行われた講座「市民になるってどういうこと?18歳選挙権 主権者教育からシチズンシップ教育へ」(企画:共育工房)にて、1コマ講師を務めさせていただきました。
 
※詳細はこちら
 
わたしが担当したテーマは、「シチズンシップ教育で何をめざしていくのか」。昨年まで大学院留学していたイギリスの事例を中心にお話しさせていただきました。
 
今回、このような貴重な機会をくださった共育工房の皆さま、講座全体のファシリテーションをしてくださった川中大輔さん(NPOシチズンシップ共育企画代表・日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF)運営委員・事務局長)、そして講座に参加してくださった方々に心から感謝申し上げます。
 
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[講座終了後、残ってくださっていた皆さんとの集合写真です]

開発教育教員セミナー(基礎編)を受講しました

 
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昨日、JICA横浜主催の開発教育教員セミナー(基礎編)を受講してきました^^
講師は、事務局であるかながわ開発教育センター(K-DEC)の木下さん。

☆開発教育とは・・・
共に生きることのできる公正な地球社会づくりに参加するための教育
(開発教育とは?|開発教育協会 より)

 
わたしはもともと、こういったバックグラウンドがあり、↓↓ 開発教育(と関連分野)には馴染みがあるため、
 
・前職(赤十字)で高校生の国際交流事業など、青少年教育を担当
日本YMCA同盟の地球市民育成プロジェクトにチューターとして参加
・イギリス・ヨーク大学でシティズンシップ教育の修士号を取得
・開発教育協会(DEAR)のイベント運営ボランティア/会員/イギリス留学中は会報誌で連載を担当
 
今回は「開発教育とは何だ?」を1から勉強したいというよりは、以下のような狙いで参加することにしました。
 
①最近、「グローバル社会に必要な教育」というテーマでのお仕事の依頼が増えてきたため、学び続けたい
②(わたしは社会教育のフィールドにいるため)学校教育の現場にいる先生たちの実践ニーズを知りたい
③また、学校教員をメインの対象者としたとき、他団体がどんなワークショップを展開するのか学びたい
④1月に開催される応用編のテーマ「グローバル人材を考える」に関心があるため、基礎編を受けたうえで参加したい
 
セミナーの構成は、
 
・木下さんによるレクチャー(開発教育 入門)
・映像鑑賞(「あいのり」(懐かしい恋愛バラエティ番組)の、ガーナ編:カカオ農園で働く子どもたちにメンバーが出会う)
・ワークショップ①(カカオ農園で働く子どもたちにチョコレートをあげる?あげない?)
・ワークショップ②(カカオ農園の子どもたちの生活改善につながる行動の優先順位付け)
 
以下、簡単に感想メモを残しておきます:
 
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「物わかりの良い」大人が「自由に」議論を交わすことの難しさ●
ワークショップをしていても、みんな柔軟に(納得したわけではなくても)自分の意見を曲げることができてしまう。また逆に、少数派の意見(B)の人がいたとしても、「このグループの総意としては(A)ということでいいですかね」ときれいにまとめようとしてしまう人も。また、私自身、「純粋な参加者」としてワークショップで意見を言うことが難しい、といつも感じます(仕事柄、どうしてもファシリテーター役に回ってしまいます・・・)。
 
映像を素材にしたワークショップの効果●
ワークショップ①は、導入としてストーリーのある映像を見て、その続きをグループで考えて結論を出す・・・という構成で、議論にすっと入りやすかったので、自分がワークショップやレクチャーをする際、ぜひ積極的に取り入れていきたいと感じました。
ちなみに今回は、「あいのり」の、ガーナのカカオ農園をメンバーが訪問する回(これから同セミナーに参加される人もいると思うので、詳細は割愛)を観たあと、「さて、このようなシチュエーションに自分が居合わせたとしたら、チョコレートを子どもにあげる?あげない?」という選択を考えるというワークショップでした。
 
●参加者を混乱させない問いを立てることの重要性●
ワークショップ②の問いは、「カカオ農園で働く子どもたちの生活を改善するための取り組みとして、9つの方法が記されています。これらの行動の順位付けをしてみましょう。いちばん有効なこと、最初にすべきことをいちばん上の〇の中に記入し、・・・」というものでした。しかし、「有効」なことと「(時間軸として)最初にすべき」こと、というのは必ずしも一致しないので、参加者同士で議論するときに妥協点を見つけるのに時間がかかってしまいました(たとえば、「カカオ産業に頼らず収入を得られるよう、新たな産業の技術を育てる」ことが有効だと感じるけれども、それは「最初にすべきこと(≒今すぐできること)」ではないから、一番上に置いてよいのかどうか?など)。
このように、ワークショップで話し合ってほしいことを一つの問いに盛り込みすぎると、議論に入る前の「そもそも」の共通認識を持つのが難しくなってしまう、というのを参加者として痛感したので、自分が主催者として問いを立てるときにも留意したいと思いました。
 
自由な議論の促進と、主催側の狙い?への誘導のバランス●
ワークショップで自由な議論を促しつつ、主催側が考えているテーマや展開(「こういう視点に気付いてほしい」など)にならなかった場合の、フォローの難しさを痛感。わたしの理解において開発教育は、「公正な地球社会を考え実現するために≪行動する≫ことをねらいとした教育」で、そのためには課題の構造的理解が重要だと思っているのですが、最初のレクチャー部分でそこがあまり参加者の中で理解されないまま1つ目のワークショップに入ってしまった印象を受けました。
 
そのため、「チョコレートをあげる/あげないことで、課題の構造はどう変わる/変わらないか」という視点での議論はされず、「自分の気持ちに正直になること(自分があげたいか、あげたくないか)が大事」という方向性に(もちろん、「自分のできる範囲でできることをする」というのも重要な視点ではあるが、個人スタンスに寄りすぎるのは開発教育としてはどうなのかな?という疑問)。その部分でのフォローがあまりないまま、「行動を考える」という2つ目のワークショップをしたため、ここでもやはり、「この行動は、構造的課題の解決につながるか?」という視点はほとんど出てこなかった(すでに開発教育を実践している方は指摘していましたが、初めて開発教育に触れる方はあまり腑に落ちていない印象を受けました)。
 
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こう書いてみると、開発教育の内容よりはワークショップの構成・手法に焦点を当てた「実践者」としての感想が多くなってしまいましたが、たまに「参加者」としてセミナーを受けることで、自分自身の反省点が見つかったり、今後の実践に取り入れたいと思うポイントを学べたりするので、今後もこうした学びの機会を得ていきたいです。来月の応用編セミナーは2日間にわたって行われるので、そちらも楽しみにしています!
 
≪本セミナーにご興味ある方へ≫
・開発教育教員セミナー(基礎編)※今回わたしが受けたものと同内容
2015年12月26日(土)14:00~16:00 @JICA横浜
対象:国際理解教育、開発教育に関心のある教育関係者
 
・開発教育教員セミナー(応用編)※わたしも参加します!
2016年1月9日(土)~10日(日) @JICA横浜
対象:国際理解教育、開発教育に関心のある教育関係者、NGO関係者等。
原則として過去の「開発教育教員/指導者セミナー」に参加したことがあり、2日間とも参加できる方に限ります。
 
詳しくはこちら→http://www.jica.go.jp/yokohama/enterprise/kaihatsu/shidousha.html
 

【2015/11/28】山口県立大学 国際文化学部「域学共創III」で客員講師を務めました

 
山口県立大学の斉藤 理准教授からお声掛けいただき、同大学の「域学共創学習プログラム」内の授業のひとつ、「域学共創III」にて90分×2コマ、客員講師を務めさせていただきました。対象は、国際文化学部の2・3年生40名ほど。
 
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 山口県立大学国際文化学部では、文部科学省「経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援:タイプB(特色型)」を通して、世界の地域と日本の地域をつなげて歴史・文化・自然・人間の価値や可能性に着目し、地域課題解決に取り組む「インターローカル人材」を育成する取組みを始めています。

(山口県立大学ウェブサイトより抜粋)
 
わたしが担当したのは、「留学準備クラス」という位置づけでしたが、留学に行く目的が明確ではない(国際文化学部にいるから何となく・・・など)という学生さんも少なくないとお聞きしていたので、留学の動機づけとなるように意識しました。また、グローバル化による社会の変化というマクロな視点で留学経験を捉える契機になればと思い、「グローバル化が進む時代に、自分の学び方、働き方、生き方を自分自身で選び取るには?」というテーマで下記のような授業を展開しました。
 
■グローバル化が進むってどういうこと?
・「暮らす」「働く」場面でどんな変化が起こりうるか?
・不確実性(予測不可能性)が高まり、従来の「正解」が通用しなくなる
・課題を構造的に捉え、異なる他者と協働・試行錯誤しながら妥協案を探し実行する力
 
■教育のあり方、学び方はどう変わるか?(世界の流れ)
・イングランドのシティズンシップ教育
・フィンランドの教育改革
・OECD政策対話「2030年に必要とされる資質能力」
 
■グローバル社会で求められる3つのbe
・Ownership / Entrepreneurship / Citizenship
・留学=これらを試行・習得するひとつの機会と考えてみる
 
■留学中の学びを帰国後に生かすためには?
・目的の明確化/経験の意味づけ/日常への応用
 
■グローバル社会で目指したいリーダー像とは?
・ダニエル・ゴールマン「6つのリーダーシップスタイル」
・ファシリテーター型リーダーシップというあり方
 
なお、後半の授業では、下記の問いを立て、「グローバル人材とは何なのか」を考えるワールドカフェを行いました。
 
問い① 「グローバル社会」で自分らしく生きていくために必要な知識・スキル・態度とは?
問い② また、それらを身に付けるうえで、留学はどのような役割を果たすと思いますか?
 
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最近よく「グローバル人材」という言葉が使われるものの、まずは
・グローバル社会を生きるってどういうこと?
・自分の可能性を生かしながら生きるために必要なこととは?
・留学に行けば”グローバル人材”になれるの?
ということを今一度よく考えてみてほしい、という狙いがありました。
 
最初は、「留学に行くと視野が広がる/忍耐力がつく/タフになる」というところで思考がストップしがちだった学生たちも、
 
「留学に行けば自然と力がつくわけではなく、様々な文化背景を持った人たちと積極的にコミュニケーションを取ろうとすることで、結果的に視野が広がるんじゃないか」
「忍耐力も必要だけど、我慢するだけでは自分を見失ってしまう。意思表示をする努力もしないと」
「こういう態度は、留学に行かなくても身に付ける方法はあるのでは?わざわざ海外へ行く意義とは?」
「自分自身がタフになるだけではなく、困ったときに人を頼るのもスキルのひとつだと思う」
 
など、もう一歩踏み込んだディスカッションを展開できるようになり、思考の幅が広がったのではないかと私は感じました。以下、グループ成果の一部です。
 
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山口県立大学のグローバル人材育成推進事業は、単に異文化コミュニケーション能力を伸ばすということだけでなく、「グローバル視点から地域課題を考える」という明確な目的のもと、地域課題に関するテーマについて調査分析を行い、留学先での研究計画を立て、その研究成果を地域で発表するプログラムがあるなど、アクティブラーニングを重視したユニークな事業なので、今後の展開にも注目したいと思います!
 

【2015/09/30】東京大学 教養学部の自主ゼミでゲスト講師を務めました

 
NPO法人YouthCreate代表の原田謙介さんが担当する、東京大学 教養学部の前期課程自主ゼミ(ハラケンゼミ)第2回にて、「シティズンシップ教育と若年層の政治参加」をテーマにレクチャーを担当させていただきました。
 
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ハラケンゼミの大テーマは「18歳選挙権時代を考える」というもの。わたしは「海外の政治教育から学ぶ」というテーマでお声掛けいただいたので、つい最近まで英国・ヨークの大学院で研究していた「シティズンシップ教育」についてお話・簡単なグループワークのファシリテーションをさせていただきました。
 
東京大学の学生だけに限らず、様々な大学から合わせて18名が受講してくださいました。
 
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わたしが担当したパートでは、以下の流れで進めました。
 
1. ペアワーク
~シティズンシップ教育の目的について考える~
 
・「現代社会について理解し、//積極的に社会参加するための//知識、態度、スキル等//を身に付けること」とは、具体的にどういう内容だと思うか?
・イングランドで「シティズンシップ」が正式科目として導入された際のカリキュラムと、ペワークで出た意見を比較する。
 
2. レクチャー
~イングランドにおけるシティズンシップ教育の内容と課題を学ぶ~
 
・イングランドにおける「シティズンシップ」教科導入の経緯とは?
・1998年 政府諮問委員会の「クリック・レポート」~2013年 ナショナル・カリキュラム改訂:内容はどう変化したか?その背景にある政治状況とは?
・学校におけるシティズンシップ教育の実践例と、その課題とは?
 
3. グループワーク
~日本でシティズンシップ教育を実践するとしたら、何が必要か考える~
 
◎考えるうえでのポイント
・日本における現代的な課題とは?
・いま・これから必要とされる「積極的な市民」像とは?
・学校教育だけで十分か?
 
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限られた時間だったので、「シティズンシップ教育って結局何なんだ?!」となってしまったらどうしよう・・・という不安も少しありましたが、最後のワークでは模造紙と付せんを使って、どのグループでも積極的にディスカッションがされました!
 
「政治を身近なこととして捉えられるような学びが必要なのでは」
「学校だけではなく、家庭や地域での取り組みも大切」
「教科導入や模擬選挙だけでなく、正解のない問いを議論できるような場が普段からないと効果がない」
など、本質を突くような意見や、
 
「そもそも《善い市民》《あるべき市民像》って何なのだろう?」
「シティズンシップ教育は必要なのかな?」
といった、大切な問いも出されました。
 
グループごとのディスカッション内容を模造紙にまとめました↓↓
 
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今回のレクチャーでは、「そもそも《シティズンシップ》とは?」という話から入らず、海外の政治教育の一例として「シティズンシップ教育」のねらいと課題に焦点を当てたので、受講生の皆さんは疑問や”もやもや”も残っていることと思います。
(終了後、質問に来てくれたり、考えを伝えに来てくれた学生さんがたくさんいました)
 
でも、シティズンシップ教育自体、「正解のない」「変化しうる」ものだとわたしは思っているので、無理に消化する必要はありません(わたしも、まだまだ勉強・実践の途中です!)。
今後も続くハラケンゼミで「18歳選挙権時代を考える」うえで、その問いを持ち続けて、皆さんなりの理解が進んでいくことを願っています。
 
学生の皆さんの様々な意見を聞くことができ、講師のわたし自身も大変勉強になりました。ありがとうございました!
10月は、法政大学のゼミでもお話する機会をいただいています^^
 
☆イングランドだけでなく、ヨーロッパで実践されている【シティズンシップ教育】に関心があるという方や、【社会参加】を促す教育的アプローチについて知りたいという方がいらっしゃれば、グループワークの企画・運営などご相談ください。お問い合わせはこちらのページからお願いします!