IMG_3117x

【2016/06/04】Share Your Story #5「ライフミッションを見つめ直す」開催レポート

 
毎月開催中のストーリーテリングと対話のワークショップ「Share Your Story」#5が無事終了しました♥
5月は西村創一朗さんをゲストにお迎えし、「ライフミッションを見つめ直す」というテーマで開催!
「Share Your Story」のコンセプトなどについてはこちらから⇒http://miosaito.net/blog/1825.html
 

1. 西村さんによるストーリーテリング

まずは、ゲストスピーカーの西村さんに、ライフストーリーをお話いただきました。
 
西村さんは現在、大手人材総合会社で働きながら「二兎を追って二兎を得られる世の中をつくる」というビジョンを掲げた株式会社HARES(ヘアーズ)を起業し、代表取締役を務めています。19歳で「学生パパ」になった西村さんは、今では3児の父親でもあります。
 
IMG_2037x
 
さまざまな「顔」を持って活躍する西村さんの姿からはなかなか想像がつかないかもしれませんが、子どもの頃に両親の離婚や生活保護を経験し、自分の環境に失望しかけていた時期もあったと言います。
 
しかし、中学の先生に掛けられたある言葉をきっかけに、「自分は社会に恩返しする義務がある」と意識が変わり、公務員を志します。その後も、大学在学中の長男の誕生やNPO法人ファザーリングジャパンでのインターン、人材総合会社への入社、社内異動などの転機を迎えるごとに、自分が人生において果たしたい使命=「ライフミッション」を見つめ直し、更新し続けてきました。
 
子どもの頃、ケガのせいで唯一の心の支えだったサッカーができなくなったこと。あまり学校にも行かず、はまっていったインターネットで公開していたネット小説で「誰かが自分の発信を楽しみに待っていてくれている」喜びを感じたこと。思いがけず子どもを授かり、大学を辞めて働こうとしていたときに、「大学はきちんと卒業すること」を条件に結婚と出産を許してくれた義父母のこと・・・。何度も何度も訪れた試練のたびに、どんな風に自分の人生を捉え、前に進んできたかを淡々と、しかし力強く話してくださいました。
 
人生に正解はないけれど、納得解はある。その納得解を選び取れるようになるためには、成功体験を重ねて自信をつけていくことが必要なのでは。自分の経験したことにどれだけ意味づけする機会を持てるか?『納得解を出せてるよね』と自己肯定できることが大切だと思う」という西村さんの言葉は、とても説得力がありました。
 

2. リフレクション・サークル

今度は参加者それぞれが自分の気付きを振り返る時間です。
西村さんのお話を聴いて、共感したこと・驚いたこと・疑問に思ったことを付箋に1枚ずつ書き出し、グループ内で共有しました。
 
IMG_3117x
 
【共感】
・専業主婦歴の長い母のスキルが少なかったことで、母親自身も西村さんたち子どもも苦労したのでは。
・中学時代に暗い経験をされていたこと。
・人生の「点」を打っていくことが大切。
・コネクティングドッツの「点を打つ方」に着目する重要性。
 
【驚き】
・自分でその都度できること、居場所を探し、見つけ、創り続けたことは本当にすごい。
・個人のブログやサイトでたくさんの読者を増やせたこと。
・育った環境が自分と似ている部分が多かった。
・ブログ(副業)を会社の役員に評価されたこと。
 
【疑問】
・父親への思いはどう移り変わっていったのか。
・いつも全力で、息切れすることはないのか?
・中学校の恩師との普段の関係は?
・複業によるデメリットはあったか?
 
一見、「とても特殊な人生」に感じられる西村さんのライフストーリーから、参加者それぞれが自分との共通点を見出し、特に西村さんが大切にしている“Connecting the Dots”(点をつなげること※)という考え方に共感する方が多いことが印象的でした。
 
※参考:2005年、スタンフォード大学卒業式でSteve Jobsが行ったスピーチが有名ですね。こちらから日本語字幕付きの動画が観られます→https://www.youtube.com/watch?v=RWsFs6yTiGQ
 

3. それぞれのストーリーを乗せて対話をふくらませる

さて、後半は、参加された皆さん一人ひとりのストーリーも交えながら対話する時間です。
いつもであれば、いくつか小テーマを設定するのですが、今回はフリースタイル!
西村さんのストーリーを呼び水に、自由に対話が広がりました。特に盛り上がったトピックについて(参加者のプライベートな話は除いて)少しだけご紹介します!
 
子どもに関する公共政策
:全ての子どもに機会を提供するためには、お金と人が必要。しかし、政治の世界ではシニア層の支持を得るためにどうしてもそちらよりの政策が増える。どうしたらその負のスパイラルから抜け出せるのか?また、そういう状況に対して文句を言うだけでなく、自分たち市民に何ができるのか?政治の世界だけでなく、ビジネスの世界でどう貢献できるのか?
 
社会問題との向き合い方
:北海道で小学校2年生の男児が行方不明になった事件があったが、「対岸の火事」のように父親を批判する声が多いのが残念。たしかに世の中に問題は多いし、健全な批判はある程度必要だが、批判だけして何も行動を起こさない人が多いことこそが社会課題ではないかと感じることがある。自分ごととして考えていく大人が増えることで、子どもも社会問題と向き合っていくことができるのではないか?その延長線上にキャリアがあるのでは?(では、同じバックグラウンドや原体験を持たない人と問題意識を共有するには?)
 
自分で自分を認めること
:(西村さんが採用の仕事をしていて)「自分に何ができるかわからない」と自信がなく、前に進めない学生が多いと感じる。人生を遡って聞いてみると、誰にでも素晴らしい経験がある。本当はいろんな「点」を打ってきているのに、自覚できていない人が多い。だから、そのことに自分で気付けるようなフィードバックをしてあげるだけで顔つきが変わる。
 
就職活動は本来、自分の打ってきた「点」に気付ける機会であるはずだが、表面的なアウトプットをする場になってしまっていて、「サークルで副代表をしていました!」みたいなアピールばかりが増える。本当は、大学3~4年生の就職活動以前に、自分の人生をふりかえり、後悔ではなく「あのときの経験は間違いではなかった」と徐々に思える時間が必要なのではないか?
 
そのほかにも、ギャップイヤー/介護士や保育士の待遇問題とキャリアの複線化/介護と育児の両立/これからの働き方とポータブルスキル/キャリアチェンジ・・・などなどたくさんのテーマについて対話がありました。
 
西村さんから最後に、「ライフミッション、と言ってしまうとカッコ良すぎるかもしれないけれど、『勝手な使命感』を持つことがとても大事だと思う。誰からやってと頼まれているわけでもないのに、自分がやるしかない!と思えるテーマ。自分で自分をキャスティングする感覚で、自分なりに課題に取り組んでいる」というお話があり、それぞれに想いを巡らせたようでした。
 

4. ふりかえり:今日の学びと気付き

西村さんによるストーリーテリング、そして参加者同士の対話を通じて「新しく気付いたこと」と「これから考えてみたいこと」を一人ひとりお話しいただきました。
 
IMG_1973
 
新しく気付いたこと
● SNSなどが発達しているけれども、こういう双方向かつ多様性のあるリアルな「場」の大切さを感じた。
● (ブログを読むと「尖っている」印象だったが)西村さんがいい人だった!(笑)
● 「ミッションを更新する」という柔軟性、レジリエンスのようなものが必要。
● ディーセントワークやパラレルキャリアなど(今日の場だけで考えると)意外と浸透してきているのかな?
● 「自分の好きなことが見つからない」というのは普通のことなんだな、と自分にとっては新鮮だった。
● 今日来たからこそ出会えた人たちの価値観や大切にしていることに触れられて良かった。
 
これから考えてみたいこと
● 「勝手な使命感」「自分キャスティング」という言葉が印象に残った。自分だからできること、はあらためて考えてみたい。
● 自己肯定・シティズンシップ教育・使命感など、今日出たトピックについて持ち帰り考えてみたい。
● 選択性の高い社会は良いものだと考えていたが、一方で負荷がかかる部分もあるのではないか、という視点。
● 自分がいま置かれている環境は、2~3年後にやりたいこととはかけ離れているので、今はインプットの期間と割り切ってしっかり行動していきたい。
● 価値観が固まってしまうのが嫌なので、いろんな人に出会える場に出ていきたい。
 
そしてゲストの西村さんからは、「日々自分のことを内省したり書いたりする機会は多いが、今日のようにストーリーとして共有しきる、ということはあまりなかったので、話しながらあらためて自分の原点や大切にしたいことを認識し、『ムダなことなんて一つもなかった』と振り返ることができた。いま自分が勝手な使命感を持っている、働き方・生き方を変えることや、子どもの貧困の再生産を止める、という課題は難しいけれど、みんなが課題だと思っているのであれば、みんなで力を合わせて向き合っていきたい、と覚悟を新たにした」とコメントがありました。
 
また、「子どもも大人も、まず自分自身を認める、というところから全てが始まる。自己を肯定する場をどう普遍的に作っていけるか?」という問いは、Share Your Storyを続けている理由とも重なり、主宰者のわたし自身も考えていきたいと思いました。
* * *
 

いかがでしたか?今回も、ゲストと参加者の方々の皆さんのご協力のおかげで、充実した時間を過ごすことができました。あらためて感謝申し上げます^^
 
ストーリーテリングと対話のワークショップ「Share Your Story」は、これからも毎月開催していきますので、ご興味ある方はPeatixコミュニティにぜひご参加ください!(オリジナルURLに変更しました★)
 
▼Share Your Story | Peatix
http://shareyourstory.peatix.com/