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【イギリス留学】12,000語の修士論文をどう組み立てるか?

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Photo from The KEEP-O-CALM MATIC
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さて、Summer Term(夏学期)の英語の授業は全5回で、修士論文の構成の作り方を学びました。秋学期・春学期に比べると実用的な内容で、タメになって良かった^^
 
というわけで、学んだ内容を忘れないようにブログで整理・・・。
 
■章立てとボリューム配分
 
わたしの学部 (Education)は、修士論文の語数は12,000 words(±10%)と決められており、この範囲を超えても下回っても点数を失うことになります。ボリュームとしては、学部論文と比べてもさほど多いわけではありません。限られた分量の中で、いかにクリアに主張を展開するか、ということが勝負となります。
 
大体の目安として、次のような構成です。各章の内容についてはのちほど!
 
・Abstract Topic, methods & results :2% (300 words)
・Chapter 1 Introduction:8% (1,000 words)
・Chapter 2 Context/literature review:23% (2,700 words)
・Chapter 3 Methodology:13% (1,500 words)
・Chapter 4 Results and analysis:25% (3,000 words)
・Chapter 5 Discussion:21% (2,500 words)
・Chapter 6 Conclusion :8% (1,000 words)
 
Abstract
 
Abstract(概要)は、修士論文全体の内容をコンパクトにまとめたもの。つまり、読者(主に採点する教授陣)が論文を読む前に大体の内容をつかめるものにしなければなりません。ここに含まれるものは、主に下記の項目。
 
・研究の目的と狙い
・メソッド(リサーチ及びその結果分析に用いる手段)
・研究のサマリー(要約)と主な成果
・研究結果の重要なポイント
 
1. Introduction
 
Introduction(イントロダクション:導入)には、次の内容が含まれます。
 
・研究分野、領域
・リサーチ・クエスチョン(研究において立てる問い)とその根拠、価値
・リサーチ・研究メソッドについての簡潔な説明
・論文全体の見通し、各章の簡単な内容説明
 
最初のAbstract(概要)も、論文全体の内容について大まかに示すという意味では同じですが、イントロダクションの章ではさらに、
 
・研究のバックグラウンド
・研究の正当性(なぜやる意味があるのか)
・論文全体の構成とアプローチ
 
を明らかにする必要があります。
 
イントロダクションは、他の章の内容が固まらないと書けないので、わたしが普段のエッセイ(レポート)を書く時には下書きだけしておいて、一番最後に書き直すようにしています。
 
2. Context/literature review
 
Literature Review(リテラチャー・レビュー:先行研究分析)に求められることは、主に2つ。
 
(1) 自分の研究分野の重要性を明らかにする
(2) 自分の研究が埋められるニッチな領域を示す
 
それぞれについて見ていきます。
 
(1)自分の研究分野の重要性を明らかにする
主な展開の仕方は2つ。
 
・社会でのニーズなどを鑑みて、その分野の重要性を強調する。
・学術界において、ハイレベルな研究がされてきた(つまり関心が高い)分野であることを強調する。
 
(2)自分の研究が埋められるニッチな領域を示す
(1)で重要な分野であることが示せても、すでに手垢がたくさん付いていることを研究しても学術的な意味がないので、「なぜ自分がそれを研究する必要があるのか?」を示さなければなりません。
そのために重要なのが、リテラチャー・レビュー。自分の研究分野に関連する先行研究文献を分析し、次のような手段で自分の研究の重要性を示します。
 
・先行研究における主張に対して、異論(Counter-claim)を唱える。
・先行研究の中にあるギャップ(不足している部分など)を示す。
・先行研究の内容に対して、疑問を投げかける。
 
たとえば、
・この分野においてAとBの観点では良く研究されているが、Cの観点はあまり強調されてこなかった。
・Dというテーマに対して、欧米のケーススタディは多いが日本については研究例が少ない。
といった具合です。
 
(1)と(2)をまとめると、先行研究を良く分析したうえで、その分野の重要性と、まだあまり研究されていない部分について示し、だからこそ自分がそれを研究する意味があるのだ、という主張を展開することが大切だということです。
 
最初に載せた各章のボリュームを見ると、Introduction & Literature Reviewが占める割合(合わせて31%)は、Results and analysis(自分のリサーチ結果と分析:25%)よりも大きく、とても重要な章だということがわかります。そのため、修士論文を書くにあたってはとにかく先行研究文献をたくさん読むことが必要になります。
 
3. Methodology
 
Methodology(研究手法)について書く章です。
 
・リサーチ・クエスチョンに対するアプローチ方法
・リサーチ対象者(もしいる場合)
・データを回収するメソッド(調査票、インタビュー等)と手順
・そのメソッドを選ぶ論理的根拠(Rationale)←重要!!
・メソッドを使ううえでの倫理的な配慮←これも重要!!
・データ回収・分析をするうえで、バイアスを回避し正確を期するための説明
 
英語のクラスを担当していたチューターは、これまで多くの修士論文の精査をしてきた経験から、「このメソッドを使います、という記述だけで、なぜそのメソッドが一番適しているのかという記述を欠いている学生が多いから、そこは注意してね」と言っていました。つまり、「何となく調査票配りま~す」というだけでは不十分で、「なぜ観察でもインタビューでもなく、調査票でデータを取るのか?」という根拠を示す必要があるということです。
 
4. Results and analysis
 
自分のリサーチのResults(結果)とAnalysis(分析)について書きます。
ここで重要なポイントは、
 
・Methodologyの章 (Chapter 3)の流れに沿って書く
(もし2つ以上のメソッドを使う場合は、それぞれの結果について分けて記述)
・リサーチ・クエスチョンに答える形で書く←重要!!
 
ということ。どんなにたくさんのデータが得られたとしても、自分が最初に立てたリサーチ・クエスチョンに沿って結果を示すという軸をブレさせないことが重要です。
 
また、このあとのDiscussion(ディスカッション)の章に繋げるため、リサーチの結果得られたデータをただ羅列するのではなく、特に興味深い観点にフォーカスすることも求められます。たとえば、
 
・データの中に見られる傾向やパターン(例:性別による特徴など)
・多くの人が選んだ項目、もしくはほとんど選ばれなかった項目
・データの統計的信頼度(データ分析でSPSSなどの解析ソフトを使う場合)
・その他、意外な結果など
 
当然のことながら、自分の仮説とは異なる結果が出たとしても、データを偽ることなく示さなければなりません。また、表やグラフを効果的に用いることも求められます。
 
5. Discussion
 
Discussion(ディスカッション)の章では、前章で示したリサーチ結果に基づいて、主に次の3つの観点から議論を展開します。
 
(1) 自分自身の研究について
・研究結果が、自分のリサーチ・クエスチョンに対してどの程度答えを提示したのか(もしくは答えが出なかった場合、その理由)←やっぱり重要!!
・得られたデータ同士の関連性や一貫性
・リサーチ・メソッドの評価
 
(2) 類似する他の研究も含めた広いコンテクスト
・先行研究結果との関連性
・先行研究と比較したときの類似点や相違点(ただし、サンプル数の違いなども考慮)
 
(3) 自分の研究領域における理論・実践との紐づけ
・自分の研究結果が、理論上持つインパクトや意味
・得られた研究結果をどのように一般化するか(もしくは限界があるか)
・自分の研究から導き出される教訓や今後求められるアクションの提示
 
前章同様、本文の内容と沿う形で効果的にグラフや表を挿入していきます。
 
6. Conclusion
 
そしてついにConclusion(結論)の章!主に次の質問に対する答えを述べていきます。
 
・どのように・どの程度自分の研究目的を達成することができたか?(ギャップや課題は?)
・自分の研究が意味するところとは?
・自分の研究の限界(リサーチしきれない部分)は?
・さらに研究が求められるところとは?(今後研究が必要な部分)
 
また、「結論」は単なる「まとめ」ではないため、リサーチ・メソッド、アプローチ、研究結果などについて自ら批判的に考察・評価することも必要です。
 
・・・と、ざっとまとめると修士論文の構成はこのようになります!
これを一つの目安として、わたしもこれから約3ヶ月、論文執筆を頑張ります^^
 
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