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【2016/05/14】Share Your Story #4「原体験を未来につなげる」開催レポート

 
毎月開催中のストーリーテリングと対話のワークショップ「Share Your Story」#4が無事終了しました♥
5月は鈴木雄飛さんをゲストにお迎えし、「原体験を未来につなげる」というテーマで開催!
「Share Your Story」のコンセプトなどについてはこちらから⇒http://miosaito.net/blog/1825.html
 
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1. 雄飛さんによるストーリーテリング

まずは、ゲストスピーカーの雄飛さんに、ライフストーリーをお話いただきました。
 
株式会社電通で働きながら、“秀逸なアイデアの法則性を盗むためのWEBマガジン”「アイデアの補助線」を個人で運営する鈴木雄飛さん。決して恵まれた家庭環境とは言えなかった子ども時代を過ごし、「我慢するべきではないのに、オトナにならざるを得ない子ども」に対して、心を寄せてきました。
 
● ”環境を変える力がなかったから、自分の頭の中を変えるしかなかった”子ども時代。家庭内の不協和音に怯えながらも、なぜ自分はこういう状況に置かれているのか、どうすればいいのかを必死に考えていた。
 
● 高校のときに出会った「世界では、3秒に1人の子どもが貧困で亡くなっている」というホワイトバンドの広告に衝撃を受けた。自分と同じかそれ以上に、ヒドい現実に打ちのめされそうな人に対して生理的に共感し、怒り、変えたいと思うようになり、大学では社会貢献活動に身を入れようと決めた。
 
● 国際NGOでのユース活動や、当時注目を浴び始めた社会起業家を志していくつかプロジェクトに携わったが、自分には「社会を変える」事業は興せないと感じるように。学生は学生らしく、と海外ボランティアなどもしたが、残ったのは達成感よりも違和感だった。小さな点を結んで社会を良くしようとするのは限界があるのではないか?など・・・
 
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● 「無関心だったものを興味津々に変える」というコミュニケーションの力に惹かれ、広告代理店に入社。自信を持って世に送り出せるプロジェクトも担当したものの、昨年の異動で状況が一転、アイデアを必要としない広告メディア売買の部署に配属され、「自分は本当は何がしたかったのか?」「これまで進んできた道は、本当にやりたいことに近付いていたのか?」と悩み、心身が不調に。
 
● 原体験が強すぎるあまり、「社会にいいことを実現できないなら自分が生きている価値がない」、「20代までに、人様に認めてもらえるような、社会を変える取り組みを実践しなければ」と心の何処かで思っていたことに気付いた。しかし、それには積み重ねてきたものが少なすぎた。もっと、目標を計画に変えないと、叶わないと思い直した。
 
● 自分の生きてきた意味ぜんぶを使い、40代までに「心を変えることでしか生き延びられなかったあの頃の自分」を救う、と目標を再設定。「地道が近道」と信じて、今いる場所でできることを積み重ねていこうと決意した。
 
「原体験を、呪いにするのか。希望の灯火にするのか。”あんなことがあってよかった”と未来の自分に言わせてあげられるかどうかは、今の自分次第」という雄飛さんの言葉が、とても印象的でした。
 
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2. リフレクション・サークル

今度は参加者それぞれが自分の気付きを振り返る時間です。
雄飛さんのお話を聴いて、共感したこと・驚いたこと・疑問に思ったことを付箋に1枚ずつ書き出し、グループ内で共有。参加者によっていろんな感じ方をするんだな、というのが良く分かる時間です。
 
今回、「共感」として多く挙げられたのは、雄飛さんの考え方や姿勢について。たとえば、
● 環境を変えられないならば、自分を変えるしかない。
● 起こってしまった出来事は変えられないけれど、その意味は変えられる。
● 何をやるかではなく、どうやるか、どう伝えるか。
● ほかの人が考える正しさは、どうでもいい。
● 消費するのではなく、蓄積する生き方をする。
 
これらは一方で、なぜそう考えられるのか?という「驚き」項目として挙げた人も多い印象でした。
 
また、“自分も同じことを感じたことがある”という意味での共感としては、以下のもの。
● ボランタリーな人は、熱すぎて伝え方がうまくないことがある。
● 社会に対して何か良いことをしたいというモチベーションと一貫性。
● 「社会を良くしたい」というざっくりとした目標と、それを持つに至るまでの強い原体験があると、それ以外を受容できなくなることもある。
 
そのほか「驚き」として挙げられたのは、
● 高校生の時から志を持って大学を選択したこと。
● 自分が忘れたいけれど忘れちゃいけない過去のことや考えを、細かく記録していること。
● 学生時代からNGOやボランティアなどたくさん活動してきたこと。
● 複雑な家庭環境で育って、それをポジティブなエネルギーに変えられたこと。
などでした。
 
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そして、実にさまざまな「疑問」が挙がりました!雄飛さん本人に聞いてみたいこととして、
● 妹や親との関係の築き方
● 「ぶさいくな人生」と言っていたが、どのあたりがそう思いますか?(聞いていて、全然ぶさいくだと思わなかった)
● もしかしたら原体験になっているかもしれないことを“忘れること”についてどう思いますか?
● アイデアを思い付くためのコツは?
 
また、
● どういう未来にしたいか?の方向性の見つけ方
● 目標を計画にできていなかったと気付き、「目の前の小さなことを積み重ねていく」となぜ思えたのか?
といった質問に対しては、雄飛さんは「正解は自分にもわからない。だから、自分も試行錯誤している途中です」と真摯に答えてくださいました。
 

3. 「自分だから持てる」問題意識について対話する

さて、休憩をはさんで後半は、参加された皆さん一人ひとりのストーリーを共有しながら対話する時間です。
今回のShare Your Storyのテーマは【原体験】=人の生き方や考え方、行動に大きな影響を与えた幼少期(過去)の経験、というデリケートな部分も難しいものだったので、どのように進めるか主宰者として直前まで迷いました。
 
まず導入のアイスブレイクとして、名前と普段の活動や仕事だけでなく、
● 最近疑問に思っていることは?
● いま関心のあることは?
ということも自己紹介し合いました。
(さまざまなタイプの疑問と関心が挙げられ、もっと深く聞きたかった!)
 
そして、ペアを作って次のQ1.とQ2.について5分間のインタビューをし合っていただき、最後に個人個人でQ3.について考えてもらいました。
 
Q1. 最近、「どうにかしたいな」と問題意識を持っていることは?
 
Q2. なぜ、「あなた」がそれを問題だと思うのですか?
 
Q3. その問題に対して「あなた」はどう関わっていきたいですか?
 
 
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ここではテーマにしか触れませんが、皆さんの問題意識がバラエティ豊かでした!
 
● 保育園入れなかった問題
● なぜ弱い人に厳しいのか
● 中学生がふたりで手をつないで線路に飛び込んだというニュース
● 自由にのびのび遊べる場所の少なさ
● なぜ多くのメディアは視聴者や弱者に迎合するのか
● 自分のやりたいことだけやることが正義だという風潮
● 日本の自殺者の多さ
● ジェンダーに対する固定観念
● LGBTのトイレ問題 
● 日本人働きすぎ問題
 
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参加者それぞれの問題意識の背景(仕事や日常生活など)について、「自分」目線で考えて相手に伝える、という機会を持ちたいと思い、ペアインタビューという形式にしてみました。それぞれユニークな視点を持っているのが興味深かったので、またこのようなテーマでワークをやる時には、もっと多くの人の話を聴けるよう工夫したいと思います!
 

4. クロージング:今日の学びと気付き

雄飛さんによるストーリーテリング、そして参加者同士の対話を通じて学んだこと、気付いたことを一人ひとりお話しいただきました。
こちらで一部ご紹介します。
 
● 雄飛さんは勉強熱心で、常に問題意識を持っている。自分は結構ポジティブで、問題を問題と捉えていないかもしれない。もっと勉強していきたい。
● 辛かった経験も含め、深いところまで掘り下げた話を近い距離で聴くのは結構しんどいと感じた。一方で、深いぶん、自分がエンパワーメントされた。
● 自分にできることを、やりながら考えていきたい。日々フラグを立てながら過ごしたい。
● あまりこういう話を聴く機会がなかったので新鮮だった。自分もメディアを通じた社会貢献がしたい。
● 自分に留学経験があるせいか、社会に日本らしさを求めている、という自分の思考のクセに気付いた。
● 自分はすぐネガティブな傾向に入りやすいが、こういう生き方をしてきた自分だからこそできることがあるとインタビューを通して気付くことができた。
● 一人ひとりストーリーがあるんだということがわかった。もっといろんな人に話を聴いてみたい。これまで過去は過去、と割り切ってきたが、未来にどうつなげられるか考えてみたい。
● 今日、一番多くのことを学んだのは、ゲストスピーカーである雄飛だと思う。自分を反芻することをもっとしていきたい。最後の対話は「あなた」はどう思うか、と強調されていたのが、「自分の体重を載せる」という意味で大事だと思った。
 
そして最後にゲストの雄飛さんは、「コンプレックスはあるけれど誇りがある人生だと思っています。原体験のその先を、どう生きるかは自分次第」だとあらためて話してくださいました。
* * *
 

次回開催は6/4(土)「ライフミッションを見つめ直す」

ストーリーテリングと対話のワークショップ「Share Your Story」は、これからも毎月開催していきますので、ご興味ある方はPeatixコミュニティにぜひご参加ください!(オリジナルURLに変更しました★)
 
▼Share Your Story | Peatix
http://shareyourstory.peatix.com/
 
次回(#5)ワークショップは、「ライフミッションを見つめ直す」というテーマで6/4(土)に開催予定です。
参加お申込みをお待ちしています!⇒http://peatix.com/event/169954/