食材は廃棄寸前の商品、料金設定なしのコミュニティカフェを訪れました

 
「捨てられるはずだった」食材を使った週替わりランチを提供する「yourcafe」というコミュニティカフェへ行ってきました!4月29日から6月3日まで6週間限定(水曜日のランチのみ)で、ヨーク大学から徒歩15分ほどのところにあるTang Hall Community Centreというコミュニティセンター内で運営されています。
 
IMG_8162
 
IMG_8161
 
このカフェは、リーズから始まったThe Real Junk Food Project(以下、TRJFP)というムーブメントが発祥。Waste and Action Resources Programme (Wrap)の統計によると、毎年イギリスで廃棄される食料は約1,500万トン(190億ポンド相当)。一方で、The York Pressの記事によると、食料に飢えている人々を支援するために地方自治体が過去2年間で支出した金額は300万ポンド。つまり、大量の食料廃棄が発生している一方で、貧困のため満足に食べられない人々がいるという現状があり、このことに対する問題意識を高めることがカフェの一つの目的です。
 
youcafeで提供される料理は、すべて個人や地元の小売店から引き取った廃棄寸前の食材なので、その内容によってメニューが変わります。わたしが訪れたときのメニューはこちら。
 
IMG_8146
 
*ハムサンドイッチ
*ブロッコリースープ(ベジタリアン)
*トマトソースパスタ(ヴィーガン)
*ライス
*グリーンサラダ
*フルーツ・クランブルのカスタードソースがけ
*ブラン・ケーキのプラムジャム添え
*アソートケーキ
*グレープフルーツ・ソルベ
*ティーケーキ
*コーヒー・紅茶(おかわり自由)
 
わたしはパスタとクランブルをいただきました^^♪
 
IMG_8160
 
IMG_8153
 
どちらもとてもおいしかった♥食後には紅茶も。
 
このカフェのもう一つの特徴は、料理に金額が設定されておらず、自分が払いたいと思った分だけ支払う(Pay As You Feel)システムになっていること。出口のところに置いてあるボックスにお金を入れるのも良し、このカフェで調理や掃除、食器洗いなどのボランティアをするのも良し。わたしは今回お金で支払いましたが、今度は何かお手伝いしたいな~と思っています。ちなみに、この日カフェで働いていた方々も、みんなボランティアでした。
 
このカフェの目的は「食料廃棄に対する人々の問題意識を高める」と同時に、「おいしい料理をみんなで食べられる場をつくることで、地域コミュニティでの孤立化を防ぐ」ことなので、たとえお金がなくてもフラッと立ち寄れて、地元の人たちとの会話を楽しめるというのは良いなぁと感じました。ともすれば生活圏が大学のキャンパスのみにとどまりがちな学生にとっても、地域住民とコミュニケーションを取る機会になると思います。わたしも、同じテーブルで相席になったジョン、クレアと楽しくおしゃべりしながらランチできました!
 
子ども用の背の低いテーブルも用意されていて、双子ちゃんが仲良く食事していました^^なごむ・・・
 
IMG_8158
 
ちなみに、個人から寄付されたお菓子やお米(賞味期限が近かったり、少し過ぎているもの)が置いてあるテーブルがあり、これも”Pay As You Feel”で持ち帰ることができます。わたしもビスケットをゲット♥
 
IMG_8145
 
**********
 
とても素敵な取り組みですが、カフェを取り仕切っているマーガレットと話す中で挙げられた課題もいくつかありました。
 
・個人の意識だけでなく食料を扱う大型店舗の仕組みを変えるには?
→ほとんどのスーパーマーケットは、衛生管理に関する厳しい取り決めがあるため、賞味期限が過ぎたものを寄付してもらうのは難しいとのこと。もう店頭で販売できない商品であっても、ごみ箱から「盗まれる」のを防ぐためにわざわざ毒性のある薬を散布する店舗もあるとか。そのため、たくさんの食料を取り扱うスーパーの廃棄問題を解決するにはまだ道のりは遠いけれど、カフェを訪れるお客さんの意識が変わることで、家庭から廃棄される食料の量は減らせるという期待は持てます。
 
・コストや食材調達などの問題がある中、継続的な運営をしていくには?
→ヨークのyoucafeは6週間限定、水曜日のみのトライアル・オープン中。この期間に多くの人々に知ってもらえれば、今後長期的な運営も可能かもしれませんが、これが初めての取り組みなので、最初はまだ様子見とのこと。わたしは、週1日だけでも地元の人が集うことができる場所がある、というのはコミュニティの繋がりを強めるという意味でも良いことだと考えているので、大学の友人たちにたくさん宣伝していこうと思っています^^
 
・地域コミュニティから孤立しがちな層(お年寄りなど)にどうカフェのことを知ってもらうか?
→今回の取り組みについては地元の新聞に取り上げられたり、ボランティアスタッフが積極的に友人を呼んだりすることで、先週のオープン時はとても賑わっていたそうですが、今週はあいにくの天気だったということもあり(イギリスの雨は珍しくないですが・・・)、そこまで混み合っていませんでした。コミュニティ・センター自体が、街の中心地から結構離れた所にひっそり建っているので、いかに口コミでカフェの存在を広めていくか、というのが課題だと感じました。
 

**********
 
食料廃棄の問題は、日本も他人事ではありません。
農林水産省発表のデータによると、日本では、年間約1,700万トンの食品廃棄物が排出されており、このうち、本来食べられるのに廃棄されている「食品ロス」は、年間約500~800万トン含まれると推計されています(平成22年度推計:平成25年9月「食品ロス削減に向けて~「もったいない」を取り戻そう!~」より抜粋)
 
食料廃棄の問題への取り組みとしても、また地域コミュニティにおける場づくりという意味でも、今回訪れたyourcafeから学べることは沢山ありそうです。また何か面白いプロジェクトがあれば、ブログに書きたいと思います。
 
☆廃棄寸前の食料を使ったコミュニティカフェに関心のある方は、オルタナSさんのこちらの記事もご参考に↙↙
売れ残りのジャガイモが食材!? 廃棄食料によるカフェ英国で | オルタナS
 
☆食品ロス(フードロス)を引き取り、人々へ届ける活動を行う日本初のフードバンク「セカンドハーベスト・ジャパン」さんについてはこちら↙↙
SECOND HARVEST(セカンドハーベスト・ジャパン)