【2015/11/28】山口県立大学 国際文化学部「域学共創III」で客員講師を務めました

 
山口県立大学の斉藤 理准教授からお声掛けいただき、同大学の「域学共創学習プログラム」内の授業のひとつ、「域学共創III」にて90分×2コマ、客員講師を務めさせていただきました。対象は、国際文化学部の2・3年生40名ほど。
 
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 山口県立大学国際文化学部では、文部科学省「経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援:タイプB(特色型)」を通して、世界の地域と日本の地域をつなげて歴史・文化・自然・人間の価値や可能性に着目し、地域課題解決に取り組む「インターローカル人材」を育成する取組みを始めています。

(山口県立大学ウェブサイトより抜粋)
 
わたしが担当したのは、「留学準備クラス」という位置づけでしたが、留学に行く目的が明確ではない(国際文化学部にいるから何となく・・・など)という学生さんも少なくないとお聞きしていたので、留学の動機づけとなるように意識しました。また、グローバル化による社会の変化というマクロな視点で留学経験を捉える契機になればと思い、「グローバル化が進む時代に、自分の学び方、働き方、生き方を自分自身で選び取るには?」というテーマで下記のような授業を展開しました。
 
■グローバル化が進むってどういうこと?
・「暮らす」「働く」場面でどんな変化が起こりうるか?
・不確実性(予測不可能性)が高まり、従来の「正解」が通用しなくなる
・課題を構造的に捉え、異なる他者と協働・試行錯誤しながら妥協案を探し実行する力
 
■教育のあり方、学び方はどう変わるか?(世界の流れ)
・イングランドのシティズンシップ教育
・フィンランドの教育改革
・OECD政策対話「2030年に必要とされる資質能力」
 
■グローバル社会で求められる3つのbe
・Ownership / Entrepreneurship / Citizenship
・留学=これらを試行・習得するひとつの機会と考えてみる
 
■留学中の学びを帰国後に生かすためには?
・目的の明確化/経験の意味づけ/日常への応用
 
■グローバル社会で目指したいリーダー像とは?
・ダニエル・ゴールマン「6つのリーダーシップスタイル」
・ファシリテーター型リーダーシップというあり方
 
なお、後半の授業では、下記の問いを立て、「グローバル人材とは何なのか」を考えるワールドカフェを行いました。
 
問い① 「グローバル社会」で自分らしく生きていくために必要な知識・スキル・態度とは?
問い② また、それらを身に付けるうえで、留学はどのような役割を果たすと思いますか?
 
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最近よく「グローバル人材」という言葉が使われるものの、まずは
・グローバル社会を生きるってどういうこと?
・自分の可能性を生かしながら生きるために必要なこととは?
・留学に行けば”グローバル人材”になれるの?
ということを今一度よく考えてみてほしい、という狙いがありました。
 
最初は、「留学に行くと視野が広がる/忍耐力がつく/タフになる」というところで思考がストップしがちだった学生たちも、
 
「留学に行けば自然と力がつくわけではなく、様々な文化背景を持った人たちと積極的にコミュニケーションを取ろうとすることで、結果的に視野が広がるんじゃないか」
「忍耐力も必要だけど、我慢するだけでは自分を見失ってしまう。意思表示をする努力もしないと」
「こういう態度は、留学に行かなくても身に付ける方法はあるのでは?わざわざ海外へ行く意義とは?」
「自分自身がタフになるだけではなく、困ったときに人を頼るのもスキルのひとつだと思う」
 
など、もう一歩踏み込んだディスカッションを展開できるようになり、思考の幅が広がったのではないかと私は感じました。以下、グループ成果の一部です。
 
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山口県立大学のグローバル人材育成推進事業は、単に異文化コミュニケーション能力を伸ばすということだけでなく、「グローバル視点から地域課題を考える」という明確な目的のもと、地域課題に関するテーマについて調査分析を行い、留学先での研究計画を立て、その研究成果を地域で発表するプログラムがあるなど、アクティブラーニングを重視したユニークな事業なので、今後の展開にも注目したいと思います!