「3.11」から4年。「赤十字職員」ではなくてもできること。

 
昨年の3月末に赤十字を退職してから、はじめて迎えた3月11日。
今年は、これまでの「3.11」とは少し違う想いで過ごした一日でした。
 
赤十字職員ではなくなった今、被災地に職務として行くことはありません。そういった「直接的な」支援に比べたら、成果がすぐ見えにくい教育のフィールドでできることは「遠回り」すぎるんじゃないか。そう感じてしまうこともありました。
 
でも、防災や災害救護といった活動も、わたしが研究しているグローバル教育やシティズンシップ教育といったアカデミック(学術的)な視点も、持続可能な社会を作っていくためにはどちらも必要なことだと、最近やっと、自信を持って言えるようになりました。
 
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☆震災後、宮城に派遣された時の写真。あれからもう、まだ、4年。
 
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この世界は、本当に複雑にできていて、異なる立場の人たちがそれぞれの目的、思惑、理念を持って動いています。どれが正解だと言うのはむずかしい。
 
教育のアプローチひとつを取っても、学者全員が納得する答えはなく、それぞれのやり方に優れている部分、足りない部分が必ずあるのだ、ということが、最近になって良く見えるようになりました。ヨーロッパの教育は、日本では良い面ばかりクローズアップされがちですが、パーフェクトな方法なんて何ひとつないし、(学術的には)定義が曖昧なことも多いし、すべてが発展の途中だと感じます。
 
全てを理解しようとすると、頭の中がこんがらがって迷子になりかけるけれど、わたしは赤十字(だけでなく、その他複数の組織)で培った経験、そこで抱いた問題意識が根底にあるので、それらをアカデミックな視点で捉え直すことで、自分の立場がクリアになってきているのを感じます(特にここ1~2ヶ月)。
 
まだまだ学びたいこと、学ぶべきことはたくさんありますが、「シティズンシップ教育」という一つのレンズを通して、教育に対する自分の問題意識や、進んでいきたい方向などが、少しずつ頭の中で整理されてきました。今は、それを寄稿記事やエッセイ(レポート)、修士論文の形でまとめるべく、奮闘中です。ブログでも、引き続き発信していくつもりです。
 
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2011年3月11日に起きた東日本大震災から、4年。
悲しいことだけど、災害がこの世界からなくなることは、おそらくないだろうと思います。
 
それを前提に、ただ「忘れない」と言うだけではなく、過去の教訓をどう未来に繋げるか。
教育のフィールドで、何を伝え、持続可能な社会にどう貢献できるのか。
 
5年目に突入した今、その問いと問題意識を常に持ちながら、残りの大学院生活もじっくり腰を据えて研究に励んでいきます。