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欧州評議会・南北センターのオンラインコース奨学生に選ばれました

 
先日の記事にも書いたとおり、ヨーク大学修士課程の授業はすべて修了したのですが、欧州評議会・南北センター(the North-South Centre of the Council of Europe)とネットワーク大学 (The Network University:アムステルダム大学をルーツに持つ、協働学習(Collaborative learning:コラボレーティブ・ラーニング)センター)が提供する短期オンラインコース(1ヶ月間)を受講できることになりました!全額奨学金付きなので、なんと無料で受けられます・・・ありがたや!
 
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Image from North-South Centre
 
Global Education: The Citizenship Dimensionというタイトルで、「グローバル教育をシティズンシップの視点から考える」という、まさにわたしの問題意識・研究関心に合致しているコース。募集締め切り1週間前に、他学部の友人が「これMioの興味に近いんじゃない?!」と紹介してくれ、(修士論文の執筆と並行して受講するのは大変すぎるかな・・・)という迷いも少しありつつも、「全額奨学金がもらえたらぜひ勉強したい!!」と勢いで応募書類を書き上げたので、念願叶って奨学生に選ばれ、本当にうれしいです。
 
最低でも週10時間、このコースを受ける必要があり、個人でのオンライン学習のほかにペアワークやグループワーク、それに基づいた課題提出も求められるので、午前中はコース受講、午後は修士論文の執筆、というスケジュールで進めていくつもりです。
 
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■参加者
参加者リストによると、下記の国から44名が受講するようです。
 
・アフリカ(モロッコ、トーゴ、チュニジア、コートジボワール、ガーナ、コンゴ、シエラレオネ、アンゴラ)
・ヨーロッパ(アイルランド、ギリシャ、リトアニア、ルーマニア、イタリア、フランス、キプロス、ノルウェー、ラトヴィア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、クロアチア、スペイン、フィンランド、ポルトガル、ドイツ、スロヴェニア、セルビア)
・中南米(アメリカ、コスタリカ、メキシコ)
・ロシア
・日本(わたしのみ)
 
■コースの目的
グローバル化する世界において、社会正義(social justice)と持続可能性(sustainability)に向けた変革に向けて、民主主義的シティズンシップ(democratic citizenship)に関連する問題に取り組んでいる人向けのコース。主な目的は下記のとおり。
 
・シティズンシップの省察、協働デザイン、ローカル/グローバルなアクションのための協働的なスペースの提供。
・シティズンシップ、市民参加(civic engagement)、グローバル教育の文脈における参加に関連する既存概念の再考察。
・グローバル化する世界における、シティズンシップ教育に対する既存の政策アプローチへの疑問提示。
・シティズンシップに対する新しいアプローチの創造と、それに付随する課題をスケールアップするための省察。
・社会正義と持続可能性につながる、インパクトのあるシティズンシップを文脈に応じて発展させるため、必要とされる能力(competences)と可能な道筋の認識。
・考える人、実践する人、イノベーター、その他の関連するアクターを繋げること。
・インパクトを増大させるためのメカニズムへのサポート強化。
 
■カリキュラム内容
4週間にわたって開講されるコースで、毎週異なるモジュール・課題を修了する必要があります。
 
・Module 1: Exploring Democratic Citizenship in a Globalised World
(モジュール1:グローバル化する世界における民主主義的シティズンシップの探究)
 
・Module 2: Co-Design of Impactful Democratic Citizenship Action
(モジュール2:インパクトのある民主主義的シティズンシップ・アクションの協働デザイン)
 
・Module 3: Competences and Strategic Paths for Transformative Citizenship Action
(モジュール3:変革のためのシティズンシップ・アクションに向けた能力と戦略的道筋)
 
・Module 4: Support Structures and Tools for Collaboration for Follow-Up
(モジュール4:フォローアップのための協働に向けた構造とツールのサポート)
 
個人で提出する課題もあれば、同じコースの参加者の中からパートナーを見つけ(Facebookの限定グループなどで呼びかけ)、共同作業を求められるものもあります。
 
わたしはいま、モジュール1に取り組んでいるところなのですが、「シティズンシップをめぐるジレンマ」について考える課題で、ラトヴィア出身の女性に声を掛け、オンライン上で意見交換しています。もともとわたしは、「ラトヴィアの人口の10%を無国籍者やノン・シティズン(non-citizens)が占める」という状況に関心を持っており、そうした国出身の彼女ならではの意見を聞きたい、と期待したためです。また、お互いにノン・フォーマルな教育の分野での職務経験があり、市民参加を促進するためのエンパワーメントについても問題意識が近いため、初っ端から刺激を受けています!
 
■そのほかの特徴
・(前述のとおり)個別学習だけでなく、オンラインでの相互アクションが求められる。
・プラットフォーム上に「フォーラム」というページがあり、コースに関連するトピックについて意見交換できる。
・学習内容に対して質問があるときや課題を提出した際には、チューターが速やかに返答してくれる。
・トップダウンのコースではなく、受講者から運営スタッフにフィードバックや改善提案を出せる。
・コース修了後も、マイページにログインすれば提供資料などを閲覧することができる。
 
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・・・と、このようなコースになっています。修士論文と並行しての受講は、時間的制約があり、簡単ではありませんが、自分の研究内容に強く関連するテーマですし、何よりこれまで取り組んできた修士課程の勉強がベースにあるからこそ深められる内容だと感じています。
 
複数のNGOでファシリテーターとしていわゆるグローバル教育に携わってきて、
ヨーク大学の修士課程でシティズンシップ教育を学んできたいま、
「その双方を合わせて考えたときに避けられないジレンマについて研究し、今後必要とされるプログラムを考えていきたい」と新たな問題意識が芽生えたタイミングで出会えたコース。
 
自分の視点に固執するのではなく、さまざまなバックグラウンドを持つ他の参加者との相互アクションを通して、「多文化共生社会における市民参加・シティズンシップ教育」という自分のテーマについてさらに深く学びたいと思います!がんばるぞ~^^