春学期の成績発表。残るは修士論文のみ!

 
春学期(Spring term:1~3月)の成績が(忘れた頃に・・・)発表されました!
課題エッセイ(レポート)の提出期限が4月中旬で、成績発表が5月下旬です。
 
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▲わたしが住んでいる、ヨーク大学のHeslington Eastキャンパス♪
 
 
春学期のメインモジュールは、エッセイ(レポート)が2本で、今回は試験はありませんでした。
それぞれの結果と教授からのフィードバック、イギリスの大学院の成績基準などについてご紹介します!
 
☆それぞれのモジュールの具体的な授業内容については、以下の記事をご覧くださいね。
>>春学期(1~3月)の授業&活動まとめ
 
■大学院の成績基準について
試験もエッセイも、50点以上で合格です。合格・不合格の中で、次のようにランクが分かれています。
 
☆Pass(合格)
Distinguished*(優) 100 – 70 *Distinctionと同じ。
Merit(良) 69 – 60
Satisfactory(可) 59 –50
 
☆Fail(不合格)
Marginal fail(埋め合わせ可能) 49 – 40
Outright fail (埋め合わせ不可)Below 40
 
エッセイの場合、70点以上取れれば上出来、80点代はネイティブでも滅多に取れないという基準です。評価の公平性を保つため、全て匿名(試験番号のみ記入)で提出します。
 
■わたしの成績発表!
前回同様、まずオンラインで結果を確認し、教授陣からの具体的なフィードバックは学部のレセプションに直接取りに行きます。今回はあまり自信がなかったので(パスするのは当然として)、かなりドキドキしながらマイページを開けます・・・
 
Term2 Module Results
 
最高ランク(Distinguished=優)と、2番目のランク(Merit=良)でした!
想像していたほどひどくはなかった・・・!(60点代前半もありうると怯えていました)
 
ちなみに「Planning & Communicating Research」というモジュールが「Pass」と表記されているのは、修士論文のプロポーザルに基づいたプレゼンテーション(5月中旬)に合格した、ということです。
(いま現在、とある大学の学生さん向けにリサーチを行っている最中で、その回答内容に影響があるといけないので、データ回収が終わったあとにプレゼンの内容をブログに書けたら、と思っています)
 
今回もエッセイについて個別のフィードバックをいただいているので、ご紹介します。
秋学期の成績についてはこちら→「秋学期の成績発表と、ひそかな野望について。」
 
①Teaching and Learning Citizenship and Global Citizenship(シティズンシップ教育&グローバル教育の教授と学習):68点(Merit)
 
わたしのMAコースの必須モジュール。わたしは「グローバル教育とシティズンシップ教育は同じかどうか?」というタイトルでエッセイ(5,000語)を書きました。
 
グローバル教育とシティズンシップ教育は重なるところもあれば、相容れない部分もあります。そのため、ユネスコなどが推している「グローバル市民教育(Global Citizenship Education)」という言葉も、一見すると理想的ですが、個人的には注意して使うべきだと考えます。
 
そこで、グローバル教育・シティズンシップ教育それぞれの「キーコンセプトと内容」、「用語の使い方(学者、政策立案者、国連、NGOなど立場によって異なる)」そして「”コミュニティ”の捉え方」を比較し、メリット・デメリットを論じました。
 
・・・が、表面的な論理展開になってしまったなぁ、いまいち深く踏み込めていないなぁと感じたので、あまり自信が持てなかったのです(そして、その点についてしっかりフィードバックをもらえて、自分のエッセイに足りなかったものに気付くことができました)。結果、割と良い点数はもらえたものの、「シティズンシップという切り口で捉えるグローバル教育(特にそこで排除されてしまう人への視点)」は今後も勉強していかなければ、と思っています!
 
***教授からのフィードバック***
☆Searching sources(情報源の探究)
文献に対する取り組み方に、素晴らしいセンスがあります。基本的には、主に学術的資料、またその他のタイプの文献をまとめており、それは良いのですが、もっと実証的なデータも扱う余地があるかもしれません。
 
☆Analysing data and ideas(データとアイディアの分析)
良く書かれたエッセイです。エッセイの最初と最後に、シティズンシップ教育とグローバル教育に関する大変印象的なアイディアを示しています。あなたは文脈を良く描写し、効果的に文献を用いて新しい洞察を展開させています。もしかすると(前述のとおり)分析を深めるためには、経験に基づいた実証的な文献をもう少し使うと良いかもしれません。
 
さらに高得点を取ろうとするならば、キーとなる用語について明確に述べる必要があります。一番の課題は、このエッセイの中心となる章で、メインの議論との一貫性がないまま展開されている記述があることです。それでも、これは大変良いエッセイでした。
 
☆Written communication(ライティングによるコミュニケーション能力)
基本的には、あなたのライティング・コミュニケーションは良いです。このエッセイは良く構成され、良く意見を伝えています。時々、不正確な箇所がありました(例:”getting blur”)。
→”getting fuzzy”と書くべきだった。なぜこんな間違いをしたんだろう・・・。
 
 
☆Other comments on the assignment(その他のコメント)
大変良くできたエッセイです。
 
☆Targets for improvement(改善に向けた目標)
注意深くプルーフ・リーディング(文法ミスなどのチェック)をしましょう。もっと重要なのは、エッセイの中心セクションをあなた自身の議論においてキーとなる観点と直接結びつけることです。
 
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②Contemporary Issues in Teaching(教育の現代的課題) :70点(Distinguished)
選択モジュールとして取っていた授業。移民の子どもたちに対するインクルーシブ教育はどのように促進できるか?というタイトルでエッセイ(5,000語)を書きました。
 
特に言語サポートに焦点を当て、イギリスとフランスにおける教育政策を比較したうえで、多文化共生社会においてどのようなアプローチが必要なのか、フィンランドなどの例を挙げて論じました。
(ちなみに、その一部をウェブメディアに寄稿しています→「欧州の「インクルーシブ」教育とは~移民受け入れに備える日本が学べること」
 
自分で決めたトピックだったので、もちろん高い関心を持って書き始めたエッセイでしたが、実際にある程度効果を上げている学術的な文献を探して分析したかったなぁと力不足を痛感。そのため、70点というマークを見て少し驚き。フィードバックにもある通り、「インクルーシブ教育」という用語に対する深い分析が足りませんでした(むしろ、そういう「便利な」言葉に縛られずに持論を展開すべきだったかも)。
 
***教授からのフィードバック***
☆Searching sources(情報源の探究)
あなたは、幅広い情報源(ソース)を上手く活用できています。いくつか誤りや省略があるものの、基本的にはAPAスタイル(※教育分野の学生が使わなければならない、レファレンス・スタイル)に沿っています。
 
☆Analysing data and ideas(データとアイディアの分析)
複雑なアイディアを幅広くカバーし、高いレベルの理解力を示しています。また、関連する最近の統計にも触れています。
 
☆Written communication(ライティングによるコミュニケーション能力)
あなたのライティングは、いくつか誤りがあるものの基本的には正確です。
 
☆Other comments on the assignment(その他のコメント)
大変興味深いエッセイでした。まず、とても面白いタイトルから始めています。あなたのカバー範囲は広く、関連する膨大な資料を用いて、それらを上手く活用しています。多くの複雑なイシュー、そしてその展開について最新の情報を提示しています。あなたが示したフランスとフィンランドの例は興味深かったです。しかしながら、このエッセイの中心となる議論が不明瞭で、それにより「インクルーシブ教育」が意図するところも曖昧になっています。
 
☆Targets for improvement(改善に向けた目標)
批判的なフォーカスを持続させること。
 
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■まとめ。
今回の2つのエッセイに共通する課題は以下の2点だと思います。
 
・実証的データを織り交ぜた深い分析が不足していた。
・メインの議論へのフォーカスが甘かった。
 
わたしは、膨大な量の文献を読み進めたり、幅広いソースをバランス良く扱ったりすることには長けているかもしれません。しかし、より説得力のある議論を展開し、メインとなる主張を裏付けるためには、フォーカスグループなどのデータも用いるべきだったな・・・と。ただ通常ターム中の課題エッセイでは、自分で何かリサーチしてその結果を用いる、ということはできないので、たとえば過去のケーススタディに言及するなど、工夫するべきでした。
 
修士論文執筆にあたっては、自分のリサーチ結果に基づいたディスカッションを展開する余地があるので、リサーチ・クエスチョン(研究にあたって立てた問い)を常に念頭に置いて、横道に逸れないように気を付けたいと思います!
 
また、実は今回、秋学期のエッセイとは異なる小さな試みを2つしました。
 
【試み①】プルーフ・リーディング(文法やスペルのチェック)をネイティブスピーカーに依頼しなかった。
 
→秋学期は、知人の親戚(イギリス人)の方に1,000語あたり10ポンド(計10,000語だったので100ポンド)をお支払いし、プルーフ・リーディングをお願いしました。
たしかに細かい部分(theの使い方など)を直してもらえるので、(英語として)パーフェクトなエッセイには仕上がるのですが、わたしは目立った訂正がなかった(1ページあたり1,2箇所)のと、何より結構お金がかかるので、春学期は誰にも頼ます、どんな評価が来るか賭けてみようと思ったのです。
 
結果、どちらのエッセイも「いくつか不正確なところはあるが~」というフィードバックがあったので、やはりプルーフ・リーディングがある方がベターだとは思います。ただ、点数にはほとんど響いていないと個人的には思います。もちろん、どの程度ネイティブチェックが必要かは個人差があるので一概には言えませんが、これから英語圏の大学院に行かれる方は、自分のライティングスキルを考慮したうえで依頼するかどうか決めると良いかもしれません☆
 
【試み②】引用文献管理ソフトウェア「EndNote」を使ってみた。
 
→英語でエッセイを書くにあたって、分野によって守るべき文献引用スタイルがあるのですが(わたしの学部はAPA。ほかにはHarvardやChicagoなどがあります)、修士論文を執筆する際にかなりの文献を扱うことになるので、いちいち手打ちでレファレンス(参考文献リスト)を作るのは大変すぎる!と思い、文献の情報を入力すれば自動的に引用・文献リストを作ってくれるソフトウェアの操作に慣れておくため、今回の課題エッセイで活用してみました。
 
覚えるまでに少し時間はかかりましたが、このソフトウェアはものすごく便利!!レファレンスを一から作る手間が省けたので、使ってみて良かったです。ただ、2つ目のエッセイのフィードバックにもあったとおり、一部抜けがあったりと、EndNoteだけで100%完璧なリストが仕上がるわけではありません。やはり最終的には、自分の目で確認することが必要だということを痛感しました。修士論文では、ミスがないようにしよう!という良い教訓になりました。
 
今回の成績を受けて、あとは修士論文もこれまで通り(いやそれ以上!)の水準で執筆することができれば、わたしがひそかに目指しているMA with Distinction(「優」評価の修士号:全モジュール平均で70点以上)を狙える位置に立つことができました!
 
これまでユース・エンパワーメントに関わってきた中で、もっと勉強したいテーマを見つけ、それを学術的に研究するためにわざわざ日本での仕事を辞め、渡英し、修士課程で学び、集大成として修士論文を執筆する段階まで来ました。最後まで熱意を持って、楽しむ気持ちを忘れずに、やり抜きます!