昨日、JICA横浜主催の開発教育教員セミナー(基礎編)を受講してきました^^
講師は、事務局であるかながわ開発教育センター(K-DEC)の木下さん。
☆開発教育とは・・・
共に生きることのできる公正な地球社会づくりに参加するための教育
(開発教育とは?|開発教育協会 より)
わたしはもともと、こういったバックグラウンドがあり、↓↓ 開発教育(と関連分野)には馴染みがあるため、
・前職(赤十字)で高校生の国際交流事業など、青少年教育を担当
・日本YMCA同盟の地球市民育成プロジェクトにチューターとして参加
・イギリス・ヨーク大学でシティズンシップ教育の修士号を取得
・開発教育協会(DEAR)のイベント運営ボランティア/会員/イギリス留学中は会報誌で連載を担当
今回は「開発教育とは何だ?」を1から勉強したいというよりは、以下のような狙いで参加することにしました。
①最近、「グローバル社会に必要な教育」というテーマでのお仕事の依頼が増えてきたため、学び続けたい
②(わたしは社会教育のフィールドにいるため)学校教育の現場にいる先生たちの実践ニーズを知りたい
③また、学校教員をメインの対象者としたとき、他団体がどんなワークショップを展開するのか学びたい
④1月に開催される応用編のテーマ「グローバル人材を考える」に関心があるため、基礎編を受けたうえで参加したい
セミナーの構成は、
・木下さんによるレクチャー(開発教育 入門)
・映像鑑賞(「あいのり」(懐かしい恋愛バラエティ番組)の、ガーナ編:カカオ農園で働く子どもたちにメンバーが出会う)
・ワークショップ①(カカオ農園で働く子どもたちにチョコレートをあげる?あげない?)
・ワークショップ②(カカオ農園の子どもたちの生活改善につながる行動の優先順位付け)
以下、簡単に感想メモを残しておきます:
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●「物わかりの良い」大人が「自由に」議論を交わすことの難しさ●
ワークショップをしていても、みんな柔軟に(納得したわけではなくても)自分の意見を曲げることができてしまう。また逆に、少数派の意見(B)の人がいたとしても、「このグループの総意としては(A)ということでいいですかね」ときれいにまとめようとしてしまう人も。また、私自身、「純粋な参加者」としてワークショップで意見を言うことが難しい、といつも感じます(仕事柄、どうしてもファシリテーター役に回ってしまいます・・・)。
●映像を素材にしたワークショップの効果●
ワークショップ①は、導入としてストーリーのある映像を見て、その続きをグループで考えて結論を出す・・・という構成で、議論にすっと入りやすかったので、自分がワークショップやレクチャーをする際、ぜひ積極的に取り入れていきたいと感じました。
ちなみに今回は、「あいのり」の、ガーナのカカオ農園をメンバーが訪問する回(これから同セミナーに参加される人もいると思うので、詳細は割愛)を観たあと、「さて、このようなシチュエーションに自分が居合わせたとしたら、チョコレートを子どもにあげる?あげない?」という選択を考えるというワークショップでした。
●参加者を混乱させない問いを立てることの重要性●
ワークショップ②の問いは、「カカオ農園で働く子どもたちの生活を改善するための取り組みとして、9つの方法が記されています。これらの行動の順位付けをしてみましょう。いちばん有効なこと、最初にすべきことをいちばん上の〇の中に記入し、・・・」というものでした。しかし、「有効」なことと「(時間軸として)最初にすべき」こと、というのは必ずしも一致しないので、参加者同士で議論するときに妥協点を見つけるのに時間がかかってしまいました(たとえば、「カカオ産業に頼らず収入を得られるよう、新たな産業の技術を育てる」ことが有効だと感じるけれども、それは「最初にすべきこと(≒今すぐできること)」ではないから、一番上に置いてよいのかどうか?など)。
このように、ワークショップで話し合ってほしいことを一つの問いに盛り込みすぎると、議論に入る前の「そもそも」の共通認識を持つのが難しくなってしまう、というのを参加者として痛感したので、自分が主催者として問いを立てるときにも留意したいと思いました。
●自由な議論の促進と、主催側の狙い?への誘導のバランス●
ワークショップで自由な議論を促しつつ、主催側が考えているテーマや展開(「こういう視点に気付いてほしい」など)にならなかった場合の、フォローの難しさを痛感。わたしの理解において開発教育は、「公正な地球社会を考え実現するために≪行動する≫ことをねらいとした教育」で、そのためには課題の構造的理解が重要だと思っているのですが、最初のレクチャー部分でそこがあまり参加者の中で理解されないまま1つ目のワークショップに入ってしまった印象を受けました。
そのため、「チョコレートをあげる/あげないことで、課題の構造はどう変わる/変わらないか」という視点での議論はされず、「自分の気持ちに正直になること(自分があげたいか、あげたくないか)が大事」という方向性に(もちろん、「自分のできる範囲でできることをする」というのも重要な視点ではあるが、個人スタンスに寄りすぎるのは開発教育としてはどうなのかな?という疑問)。その部分でのフォローがあまりないまま、「行動を考える」という2つ目のワークショップをしたため、ここでもやはり、「この行動は、構造的課題の解決につながるか?」という視点はほとんど出てこなかった(すでに開発教育を実践している方は指摘していましたが、初めて開発教育に触れる方はあまり腑に落ちていない印象を受けました)。
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こう書いてみると、開発教育の内容よりはワークショップの構成・手法に焦点を当てた「実践者」としての感想が多くなってしまいましたが、たまに「参加者」としてセミナーを受けることで、自分自身の反省点が見つかったり、今後の実践に取り入れたいと思うポイントを学べたりするので、今後もこうした学びの機会を得ていきたいです。来月の応用編セミナーは2日間にわたって行われるので、そちらも楽しみにしています!
≪本セミナーにご興味ある方へ≫
・開発教育教員セミナー(基礎編)※今回わたしが受けたものと同内容
2015年12月26日(土)14:00~16:00 @JICA横浜
対象:国際理解教育、開発教育に関心のある教育関係者
・開発教育教員セミナー(応用編)※わたしも参加します!
2016年1月9日(土)~10日(日) @JICA横浜
対象:国際理解教育、開発教育に関心のある教育関係者、NGO関係者等。
原則として過去の「開発教育教員/指導者セミナー」に参加したことがあり、2日間とも参加できる方に限ります。
詳しくはこちら→http://www.jica.go.jp/yokohama/enterprise/kaihatsu/shidousha.html