yorkuni

秋学期(9~12月)の授業&活動まとめ

 
秋学期の最終試験・エッセイ提出が無事に済んだので、10~12月に受けていた授業の内容などをちょこっとご紹介したいと思います。あくまでもこれはヨーク大学院のグローバル市民教育・修士課程(MA in Global and International Citizenship Education)2014-15年のケースで、大学・コースによってだいぶ異なることをご了承ください!
 
yorkuni
☆ヨーク大学のメインキャンパスです♪
 
■年間のプログラム概要
 
まず、MA(修士号)を取るためには年間で180単位取る必要があります。全員がこの単位数ピッタリのモジュールを取ることになっているので、実質ひとつも単位を落とすことができません。もしも「モジュール(120単位)は全部取れたけど修士論文(60単位)は書かなかった」という場合にはMAではなくthe Postgraduate Diploma(ディプロマ)を取得することになるようです(わたしはもちろん修士号を取ります)。
 
**********
 
■Autumn Term(秋学期:10~12月、10週)の週間スケジュール
 
↓1週間のわたしのスケジュール。実際は、授業時間が変更になったり、イレギュラーな予定が入ったり、友達と出かけたりする日もありますが、わかりやすく表にするとこんな感じです!
 
autumn schedule
 
黄色い部分が授業なのですが、「意外と少ないな」と思われるかもしれません(実際、わたしも最初はそう思いましたw)。でも、イギリスの大学院ではSelf study(自主学習)が重視されているので、授業の予習・復習(主に文献を読む)に多くの時間を割く必要があり、実際はそんなにヒマではありませんでした。
 
とはいえ、去年在籍していた先輩から「忙しすぎてバイトする余裕はないよ」と聞かされていたほどではないかな?と個人的には思います。時間管理がうまくできる・文献を速く読むことに苦手意識がない人であればどうにかなるかと!上の表では土日両方にバイトが入っていますが、週によってはシフトに入らないことも。平均すると、週に10~15時間働いていました。
 
わたしはあらかじめピンク色の時間帯は自習に充てる!と決めて、授業やバイトの後に図書館へ直行するようにしていました(まっすぐ自分の部屋に帰っても、だらけてしまうので・・・)。
 
みんなが一斉に取る「昼休み」や授業と授業の間の10分休憩というものはないので、隙間の時間に食事を取ったりキャンパス内のカフェで一息ついたりします。わたしの場合、金曜日だけは11~16時まで講義が詰まっていて、一つの授業が終わったらとりあえずクッキーを食べながら次への教室までダッシュ、というちょっと大変なスケジュールでした。
 
■Compulsory Modules(必修モジュール)
 
1. Research methods in education(リサーチ・メソッド)
・Credits(単位):20
・Assessment value(成績比重):12.5%
・授業形式:講義(週1・120分)
・評価方法:クリスマス休暇明けに試験(120分)
・内容:
 教育分野における調査・研究メソッドについて学びます。具体的には、リサーチデザインの組み立て方、インタビュー調査や観察調査の方法、SPSSを使った量的調査の分析など。the standard deviation(標準偏差)やChi-square test(カイ二乗テスト)など、日本で大学に通っていた時(5年前)に気まぐれで取っていた統計学の授業で習ったこともチラホラ出てくるのですが、理論的な話が多いので結構難しいです・・・。ちなみに昨年はクラスの3分の1が単位を落としたらしく、、ひゃあ~!
 
2. Citizenship education(シティズンシップ教育)
・Credits(単位):20
・Assessment value(成績比重):12.5%
・授業形式:講義(週1・120分)&セミナー(ゼミ)(隔週・60分)
・評価方法:クリスマス休暇明けにエッセイ(レポート)提出(4-5,000 words)
・内容:
 コースの核となるモジュール。わたしがヨーク大学を選んだ理由のひとつは、このモジュールを教えているIan Daviesという教授の存在です(日本にいる時から彼の論文をいくつか読んでいたので、ぜひ彼のもとで勉強したいと思っていたためです)。ここではアリストテレスの時代から始まり、「シティズン(Citizen)」という概念がこれまでどのように捉えられてきたのか、歴史的・理論的側面を中心に学びました。モジュールの名前は「シティズンシップ教育」だったので、イギリスにおける教育政策なども触れましたが、最初の学期ということもありシティズンシップの基本概念を理解することが主でした。
 
毎週、講義の前にプレゼン担当者が決められていて、その発表のあと講義に入ります。わたしはCommunitarianism(共同体主義)の回を担当しました(他の週のテーマは、Liberalism(自由主義)、European Citizenship(ヨーロッパにおけるシティズンシップ)など)。また、授業の一環でBootham Schoolというクエーカー系の独立学校へ授業見学に行く機会もありました。
 
最終エッセイのテーマは複数の中から選択でき、わたしが選んだのは「シティズンシップ教育に関するイングランドのナショナルカリキュラムと日本の学習指導要領の比較検討」について。選択モジュール(後述)のエッセイで人権教育に焦点を当てたので、こちらの課題でもそれを生かし、人権教育の観点から日英のシティズンシップ教育を批判的に考察しました。
 
■Optional Modules(選択モジュール)
 
3. Education and Social Justice(教育と社会正義
・Credits(単位):20
・Assessment value(成績比重):12.5%
・授業形式:講義(週1・120分)
・評価方法:クリスマス休暇明けにエッセイ提出(4-5,000 words)
・内容:
 モジュール名の通り、教育と社会正義、そして人権(Human rights)の関係について、主にa rights-based approach(権利ベースアプローチ:開発分野において、人権尊重の観点から取り組むアプローチ)の観点から学びます。テーマの例は、人権と言語・障がいと公平・多文化主義とマイノリティ文化・ジェンダー平等・人権教育など。
 
最終エッセイのテーマは複数の中から選択でき、わたしは「社会正義と人権尊重の促進は、教育者の役割か?」という問いを選びました。理論的には教育を通じて人権尊重を促進するべきという立場を取りますが、現実的には政府と被抑圧者たちとの間に政治的対立が起こった結果、学校における人権教育は非本質的なものになってしまう傾向がある(「権利を獲得する」ための政府⇔個人の関係、というよりは「人に優しくする」「差別しない」といった個人⇔個人の関係にばかり焦点が当てられる、など)ということを、日本の部落問題・同和教育を例に挙げて論じました。
 
☆追記
エッセイの内容の一部を、こちら↓↓の記事に書きました。ご参考まで。
【ブログ】日本の道徳教育を「人権」の観点から考えてみた
 
このエッセイを書く上で調べたこと、考えたことは、大学院生活後半、そして帰国後の進路を考えるうえでわたしの軸になりそう。大学院での研究の肝はセルフスタディー(自主学習)にあるんだなぁと実感しました。孤独な作業ですが、自分の考えがどんどん深まるので、わたしはペーパー試験よりもエッセイを書く方が好きです!
 
☆ちなみに上記3つのモジュールの成績は、Spring term(春学期)の7週目(2月中旬)に発表されます。
 
■その他(成績には入らないモジュール)
 
1. Departmental English(英語)
・授業形式:セミナー(120分)
・内容:
エッセイや論文を書くために必要なアカデミック・ライティングを学ぶための必修モジュール。わたしは夏にプリセッショナルコースを受講していたので、その復習のような感じ。以前ブログにも書いたのでご参考に→「プリセッショナルコースで学ぶアカデミック・ライティング」
成績に入るわけではないのですが、毎週何かしらの宿題が出されるのでちょっと大変でした。
 
2. International Conversation(インターナショナル英会話)
・授業形式:セミナー(120分)
・内容:
 必修ではなく、先着順に受けられる英語コースの一つ。同じタイプのコースだと、ビジネス英語やケンブリッジ英検のための授業も取れます(一部追加で授業料がかかりますが、このコースは無料)。大学院での英語の授業はライティング(書く)が中心なので、スピーキング(話す)授業も取りたいと思って選びました。
 
毎週、異なるテーマ(家族、文化、社会問題など)に沿って少人数で自由に会話するクラスだったのですが、(当たり前のことながら)皆ネイティヴスピーカーではないし、わたしみたいに「もっと話す機会を増やしたい」というよりは「英会話の自信をつけたい」という人の方が多く集まる場だったので、正直なところ、レベルはそんなに高くありませんでした。ただ、普段の学部の授業と比べると出身国も年齢層もバラバラだったので、新しい人に出会えるという意味では良い機会でした。
 
3. Classical Latin(古典ラテン語)
・授業形式:講義(週1・120分)
・内容:
 外国語の授業は主に学部生向け(無料・単位になる)ですが、枠に空きがあればわたしのような大学院生でも受講できます(全19週で£142・単位にならない)。「せっかく1年間イギリスの院にいるんだから、全く新しいことを勉強してみたいな~」ぐらいのノリで取ったラテン語、ほかのどの授業よりも苦労しています(涙)。大学生のときに第二外国語としてフランス語を4年間勉強していたのですが、その比にならないぐらいわけがわからない。でもせっかく始めたので5月まで全うします・・・!(頑張れわたし)
 
**********
 
わたしが秋学期に受けていた授業はざっとこんな感じです。「イギリスの大学院でどんなことを勉強するんだろう?」と興味のある方にとって参考になればうれしいです!成績が発表されたら、日本とは異なる評価方法などと併せて、また別記事にまとめますね(追記:こちらの記事をご覧ください→「秋学期の成績発表と、ひそかな野望について。」)。