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ストーリーテリングと対話のワークショップ「Share Your Story」を毎月主宰します!

 
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Image via southernweddings.com
 
2016年2月から、「等身大のストーリーが、一歩を踏み出すチカラになる」をコンセプトにしたワークショップ「Share Your Story(シェア・ユア・ストーリー)」を毎月主宰します。
 
人はだれしも、その人にしか語れないストーリーを持っています。自分では「取るに足らない話」と思っていたとしても、それをシェアすることで、聴き手が大きな学びを得られたり、勇気づけられたりすることがあります。そして、そのストーリーから得た気付きを、今度は参加者同士でシェアすることで、共につながり、一歩踏み出すきっかけが生まれるかもしれません。
 
世紀の大発明をした!とか、前人未到の大記録を打ち立てた!といった話ではなくとも、一人ひとりの持つ等身大のストーリーには小さな変化を起こす力があります。それを丁寧に掬い取り、対話する場をつくり、ポジティブでゆるやかなつながりを紡いでいきたい、という想いでShare Your Storyをスタートさせました♪
 

「エンパワーメント」ってなんだろう?

 
わたしは、学生時代いわゆる「国際協力」に強い関心があり、国際NGOのユースメンバーとして活動したり、旧ユーゴスラビアの難民キャンプでボランティアしたり・・・と活動をしていましたが、「自分がどんなに意義のあることだと思っていても、それをただ熱く語るだけでは他者の共感は得られない」ということを学びました。
 
大学卒業後に入社した非営利組織では、青少年教育やボランティア研修のファシリテーションを担当していました。社会問題、国際課題の解決に貢献したい!という熱意を持った高校生や大学生をサポートする仕事は、彼らの成長が目に見えるのでやりがいはありましたが、”非日常的な”研修プログラムのあと、”日常”に戻ったあとも行動を継続することはなかなか難しいということも感じていました。
 
「何か行動を起こしたい」という思いはあっても、”社会”や”世界”が抱える問題はあまりに大きすぎて、国連職員にでもならないとその解決に貢献できないのではないかと無力感を持ってしまったり(それでも内定は取らないといけないから就職活動を始めて、途中で自分を見失ってしまったり)。「自らアクションを起こせるように、その人をエンパワーメント(empowerment=力づけ)すること」のやりがいと難しさを、仕事を通じて痛感する日々。
 
そのうちに、「一部のエリート層だけが頑張る国際協力や、寄付やボランティアのような社会貢献活動とは違う、ごく普通の私たちが日常生活の中で取り組めるソーシャルアクションのあり方を考えたい」という思いが大きくなり、本業の傍らエシカルWebマガジンの運営もするようになりました。「かわいそう」ではなく「かわいい」という切り口で、おしゃれが好きな20-30代女性の心に響く情報発信を―という軸が明確だったことと、当時少しずつ「エシカル」という言葉の認知度が高まっていたことから、学生時代の「国際協力」よりもはるかに共感を得られているという手ごたえがありました。
 
一方で、「エシカル」や「ソーシャルグッド」という言葉”だけ”を強調してしまうと、それらが特別なものとしてカテゴライズされてしまったり、購買行動そのものが目的化してしまいかねない・・・という側面もあるな、ということも感じていました。
 
「わたし」なりの価値観や判断基準がないと、「エシカルと謳われているから」という理由だけで「いいもの」と思ってしまうかもしれない。逆に、その「いいもの」を選ばないことを、後ろめたく感じることもあるかもしれない。つまり、結局のところ「わたしのエシカル哲学」がないと、ソーシャルアクションとして持続性がないのではないか?と考えるようになったのでした。
 
このように、学生時代の国際協力活動、卒業後の青少年育成の仕事、そしてエシカルWebマガジン運営という個人活動を通じて、「『できる人はできる』”社会貢献”ではなく、一般市民のそれぞれの立ち位置を出発点にした”社会参加”や”社会変革”には、どのようなエンパワーメントが必要なのだろう?」という自分の問題意識・テーマが明確になっていきました。
 
さまざまなセミナーや研修に参加したり、ヒントになるそうな書籍を読んだりして勉強していくうちに、市民の積極的な社会参加を促す「シティズンシップ教育」というものを知りました。きちんと体系的・学術的に研究したいと思ったため、大好きだった職場を辞めてイギリスのヨーク大学修士課程に留学し、シティズンシップ教育やアクティブ・ラーニングについて研究しました。
帰国後は、地域活動や社会起業を支援する民間企業に転職をし、ワークショップの企画・運営などを担当しています。
 

「わたし(I)」を主語に語ること

ここまで研究や実践を重ねてきたなかで、そもそも「社会参加」のベースとして必要だとわたしが感じているのは、
 
● 「自分はかけがいのないユニークな存在だ」という自己受容・自己肯定意識
● 「自分にも社会に参加する・より良くするために行動する権利がある」という市民としての権利意識
 
です。そういった意識を持つための第一歩として、わたしがこれから広く伝えていきたいなと思うのは、
 
● 「社会」や「世界」の前に、「わたし(I)」を主語にした哲学、ミッションを語れること
 (世の中的に~すべき(should)ではなく、わたしが~したい(like, want)という価値観にまずは自分で気付くこと)
の大切さです。ここで言う「語れる」とは、自分でミッションを自覚していて、かつ、それを聴いてもらえる安全な環境がある、という意味です。
 
また、「わたし」が不在のまま「社会変革」を訴えても、最初は正義感や責任感に突き動かされて動けるけれど、決して持続はしないし、他者の共感を得るのは難しい(結果的に、根本的な変化は起こせない)。
 
これまでわたしは、「社会参加や社会変革を促すための、外側からのエンパワーメント」という視点で考えていました。
でも今は、
「社会との繋がりの中で培われた自分の価値に気付くための、内側からのエンパワーメント」に関心を持っています。特に、次のようなアプローチに注目して学んでいるところです。
 
● ナラティブ・アプローチ:自分の人生を丁寧に振り返り、過去の経験や価値観に意味づけをしていく。
● アサーティブ・コミュニケーション:相手のことも尊重したうえで、自分の思いや問題意識を伝える。
● 対話的アプローチ:口にした想いを、安全な環境での対話を通じて受け止め合い、共感を分かち合う。
 
そこで、これを実践するわたしなりの一つの試みとして、
 
● 次のステージに進もうとしている人と向き合い、ライフストーリーの編集・意味づけをする
● ゲストスピーカーに、等身大のストーリーを話してもらう(ストーリーテリング)
● ゲストのストーリーを元に設定したテーマに沿って、参加者同士でストーリーを語り合う
 
という個人セッションと、シンプルな少人数制ワークショップを始めることにしました。
 

ライフストーリーの編集から対話まで

 
このShare Your Storyの取り組みを通じて、次の3つの場面で「エンパワーメント」というテーマに向き合いたいな、と思っています。
 
① 主宰者(わたし)⇔ ゲストスピーカー「対話を通じて思いを整理する」
Share Your Storyの特徴は、「すでに成功した有名人」ではなく、「試行錯誤しながら自分の道を見つけようとしている、身近な人」をゲストスピーカーとして呼ぶこと。そのため、わたしからお声掛けする段階では「自分の経験はとるに足らない(人前で語るほどでもない)」と思っている人が多いです。
 
でも、「一人ひとり素敵なストーリーや想いを持っているのに、それを発信しないのはもったいない!」とわたしは思うのです。だからこそ、まずわたしがゲストスピーカーの話を1対1の個人セッションでじっくり聴き、その思いを「人に伝わる」形で整理するお手伝いをしています(わたしはこれを、「ライフストーリーの編集」と言っています)。
 
自分のストーリー(人生)の”意味づけ”ができると、自分のミッションや大切にしてきた(したい)価値観に気付くことができます。「忘れていたけれど、あの経験が自分の原点だ!」と自分の過去を新しい視点で振り返ることができたり、「そうだ、わたしはこういうことがしたかったんだ!」とポジティブに未来を描けるエネルギーが湧いてくる。これは、聴き手のわたしが「与える」ものではなく、その人の「内側からのエンパワーメント」です。
 
わたし自身、小さいころから何をするにも人よりワンテンポ遅かったり(笑)、これといった取柄もなくずっと自信が持てずにいましたが(今でも、根はネガティブな方です・・・)、何か問題意識が芽生えるごとに自分の人生を振り返ったり、ありがたいことにインタビューや講演などで自分の想いや活動について伝える機会が増えたりしたことで、少しずつですが次のステップを見出すことができてきた、と感じています。わたしにとって、ライフストーリーを何度も振り返り、そのたびに編集していく、という作業はとても有効だったようです。
 
② ゲストスピーカー ⇔ 参加者「等身大のストーリーを語る」
主宰者であるわたしとの1対1の対話を通じて、ある程度自分の思いが整理されたところで、あらためて「参加者の皆さんに問いかけたいこと/伝えたいメッセージ」をゲストの方自身に考えてもらい、相談に乗りながら当日のプレゼン内容を作っていきます。
 
その時にお伝えしているのが、「どこかで聞いたような綺麗なメッセージよりも、うまくまとまっていなくてもいいから等身大の言葉で話してください」ということです。”自分とは別の世界に住むスゴイ人”の話からも刺激は受けられるけれど、「それならわたしもできるかも」と一歩を踏み出すきっかけをつくるには、”自分と同じような課題を抱えていて、それを乗り越えるために試行錯誤している(実際に動いている)身近な人”のストーリーを共有することが有効だとわたしは思うからです。また、参加者の方々からのフィードバックによって、ゲストスピーカーの方も「自分のストーリーのこういう部分が共感を呼ぶんだな」ということに気付くことが多いようです:)
 
自分から積極的に「わたしの話を聞いて!」と講演会などの機会をセッティングするのはハードルが高いと思うので、「ゲストスピーカーとして呼ばれたから」ということを”言い訳”として、今後の活動の足掛かりにしてもらえたらいいなとわたしは考えています。
 
③ 参加者 ⇔ 参加者「異なる他者との対話から気付きを得る」
Share Your Storyは、「講演会」ではありません。あくまでも、ゲストスピーカーが提供してくれる思いやエピソードにもとづいて、参加者同士で気付きを共有し、「対話」を通じてそれぞれのストーリーを語り合う場です。
 
まずゲストスピーカーのお話を聴いて、共感したこと・驚いたこと・疑問に思ったことを共有すると、対象が同じ話でも人によって感じることが違うことに気付きます。それを理解したうえで、今度はテーマに沿った参加者一人ひとりのストーリーを語り合うことで、お互いの価値観や視点の違いを楽しみながら対話することができると考えています。
 
普段の生活では、学校や職場など、価値観や状況が似ている人と話すことは多いかもしれません。Share Your Storyのワークショップでは、世代もジェンダーもバックグラウンドも異なる参加者同士が少人数で対話することで、いつもとは違う気付きをそれぞれが持ち帰れるよう、ファシリテーション含め、場の設計をしています。

毎月開催。ぜひご参加ください!

・・・と、久々に新しい取り組みを始めるということで、長々と書いてしまいました!
 
こんな思いのもと、毎月Share Your Storyのワークショップを開催していく予定ですので、ぜひ遊びに来ていただけたらうれしいです。
Peatixのグループページ(http://peatix.com/group/33381)に参加してもらえれば、イベント開催情報が更新されると通知を受けられるので、ご興味のある方はぜひ:)
 
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(写真:Share Your Story #1の対話風景)
 
ちなみに現時点で2~4月の日程が決まっていますので、ご都合つく方はお申込みをお願いします♪
 
#1「世界のどこでも自分らしく生きる」(2/21開催)http://peatix.com/event/148450
 
#2「環境の変化をポジティブに捉える」(3/6開催)http://peatix.com/event/149385
 
#3「出会いを活かして夢に近付く(仮)」(4/2開催)http://peatix.com/event/155746
 
イベントレポートはブログにアップしていきますので、お楽しみに!
 

【2016/01/23】山口県立大学「グローバル人材育成フォーラム」で審査員を務めました

 
1月23日(金)、山口県立大学のグローバル人材育成カリキュラムの一環で行われた「域学連携フォーラム」にて、同大学の学生によるプレゼンテーションの審査員を務めさせていただきました。
 
☆昨年11月に、客員講師として講義をさせていただいたときの記事はこちら:
【2015/11/28】山口県立大学 国際文化学部「域学共創Ⅲ」で客員講師を務めました
 
同大学では、1年生から4年生までの一貫した教育カリキュラム「域学共創」学習プログラムを展開しており、23日のフォーラムでは、留学前の準備科目「域学共創Ⅲ」と、留学後のキャリア形成科目「域学共創Ⅳ」を受講した学生たちが学習成果を発表しました。
 
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近年、「グローバル人材育成」を目標に掲げている大学が増えていますが、山口県立大学のカリキュラムの特徴は、「グローバル視点から地域課題を考える」(域学共創Ⅲ)、「地域と協働し、地域の未来を構想する」(域学共創Ⅳ)というように、「グローバルな学びを地域課題の解決に生かす」ことを学習目標としていること。これは、地域との距離が近い公立大学ならではの強みかもしれません。
 
参考リンク:地域と共に学ぶ|山口県立大学
 
これから留学に行く学生さんからは、
・「久留米絣」を含め衰退する可能性のある世界地域文化を守るために、フィンランドなどで「農閑期デザイン」の実地調査をする
・山口県に来る外国人向けに「音楽」をテーマにした観光ツアーをつくるために、JTB台湾でインターンシップをする
・つながりのある社会のヒントとして、中国で広場の活用方法を学ぶ
など全部で8つの留学プランが発表され、
 
すでに海外で学んできた学生さんからは、
・英語を使ったサービス向上を目指す湯田温泉の従業員に対して英会話教室を開き、英語で「温泉物語」を発信する
・山口へハネムーンで来る外国人カップル向けに、ウェディングフォトを撮れるツアーを企画する
・世界で活躍できる人を育てるため、英語演劇ワークショップを県内の学校で広げる
など全部で6つのプロジェクトプランが発表されました。
 
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限られた時間ではありましたが、私は審査員として
・予見力:時代の変化(グローバル化)についてよく理解しているか
・思考力:論理的に考えられている発表内容か
・予測力:データを挙げながらよく練られたプランになっているか
・実行力:地域社会への貢献度が高いプランか
という4つのカテゴリーごとに(僭越ながら)点数をつけさせていただきました。
 
どのプレゼンもユニークで私自身も大変勉強になりました!
強いて言うならば、下記の視点がもう一歩、というプランが多かったかなと思います。
(どれも、私が大学院で研究するときに口酸っぱく言われたポイントなので・・・)
 
・得たいデータに対して、適切な調査手法を選択しているか
・質的調査だけでなく量的調査の材料として指標設定ができているか
・仮説を設定したうえでリサーチを行い、実施後に検証ができているか
(見切り発車でプロジェクトを実施し、「やっぱり正しい!」と意味を後付けするのはNG)
 
私も引き続き、グローバルな視点で地域課題に取り組み、市民が主体的に社会に参加するための仕組みづくりに貢献できるよう、精進してまいります。お声がけくださった山口県立大学の斉藤理先生ならびに大学職員の皆さま、貴重な機会をありがとうございました!
 
☆本フォーラムについてのパブリシティ(山口新聞)はこちら:
http://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/news/digest/2016/0124/7p.html
 
☆留学中の山口県立大学の学生さんによる現地レポート(朝日新聞)はこちら:
http://www.asahi.com/area/yamaguchi/articles/list3600075.html
 

【告知】イギリス大学院留学を考え始めた人向けシェア会を開催します!

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イギリス大学院留学を経て赤十字→民間企業にキャリアチェンジした経験をもとに、社会人留学を考えている(もしくは新卒留学と迷っている)人向けのシェア会を開催します♬
 
・出願までのスケジュールは?働きながらの準備は大変?
 
・大学院留学を実現するには、最低でもどのぐらいの貯金がいる?
 
・退職して大学院留学するときに、考えておくべきことは?
 
・イギリスの修士課程は1年間と聞いたけれど、スケジュールはどのぐらい忙しい?
 
・留学経験を帰国後のキャリアチェンジにつなげるためには?
 
・・・などなど、わたし自身も渡英前はわからないことだらけでした。同じような疑問を持っている人に、実体験とそこから考えたことを共有できればと思っています!質問などあれば、当日できる限りお答えします^^また、留学イメージが少し明確になるようなワークも予定しています。
 
※ただし、アメリカなど他の国の大学院留学については経験がないため、質問にお答えできませんのでご了承ください><
 
■イベント概要
【日 時】 2016年2月6日(土)14:00~17:00 ※受付開始:13:30~
 
【会 場】 株式会社エンパブリック 根津スタジオ(メトロ千代田線・根津駅から徒歩3分)
 
【定 員】 10名 
 
【参加費】 3,000円(学生は2,000円)
*資料、飲み物、お菓子付きです♩
*当日、現金でお支払いください。
 
【こんな人にオススメ!】
・イギリス大学院留学に興味があるけれど、具体的なイメージがまだ湧いていない人
 
・働きながらの留学準備に不安があり、経験者の話を聞いてみたい人
 
・自分と同じように、イギリス大学院留学を考えている仲間と出会いたい人
 
※宗教・政治・ネットワークビジネス等への勧誘行為は固くお断りします。
 
【参加お申し込み】
当ブログのお問い合わせフォームからお申し込みください。
 
その際、件名に「2/6 シェア会参加希望」、本文に①お名前、②既卒か学生か、③当日連絡を受けられる電話番号、④イギリス大学院留学について特に知りたいことをお書きください。
 
【主催者プロフィール】
齋藤 実央(さいとう みお)
 
1988年生まれ。新卒で入社した日本赤十字社を2014年3月に退職し、同年7月から英国・ヨーク大学修士課程(シティズンシップ教育)に留学。2015年9月に帰国し、現在は民間企業に勤務する一方、個人の仕事として大学等での講師を務めている。
 
ブログ:http://miosaito.net/
 

【2015/11/28】山口県立大学 国際文化学部「域学共創III」で客員講師を務めました

 
山口県立大学の斉藤 理准教授からお声掛けいただき、同大学の「域学共創学習プログラム」内の授業のひとつ、「域学共創III」にて90分×2コマ、客員講師を務めさせていただきました。対象は、国際文化学部の2・3年生40名ほど。
 
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 山口県立大学国際文化学部では、文部科学省「経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援:タイプB(特色型)」を通して、世界の地域と日本の地域をつなげて歴史・文化・自然・人間の価値や可能性に着目し、地域課題解決に取り組む「インターローカル人材」を育成する取組みを始めています。

(山口県立大学ウェブサイトより抜粋)
 
わたしが担当したのは、「留学準備クラス」という位置づけでしたが、留学に行く目的が明確ではない(国際文化学部にいるから何となく・・・など)という学生さんも少なくないとお聞きしていたので、留学の動機づけとなるように意識しました。また、グローバル化による社会の変化というマクロな視点で留学経験を捉える契機になればと思い、「グローバル化が進む時代に、自分の学び方、働き方、生き方を自分自身で選び取るには?」というテーマで下記のような授業を展開しました。
 
■グローバル化が進むってどういうこと?
・「暮らす」「働く」場面でどんな変化が起こりうるか?
・不確実性(予測不可能性)が高まり、従来の「正解」が通用しなくなる
・課題を構造的に捉え、異なる他者と協働・試行錯誤しながら妥協案を探し実行する力
 
■教育のあり方、学び方はどう変わるか?(世界の流れ)
・イングランドのシティズンシップ教育
・フィンランドの教育改革
・OECD政策対話「2030年に必要とされる資質能力」
 
■グローバル社会で求められる3つのbe
・Ownership / Entrepreneurship / Citizenship
・留学=これらを試行・習得するひとつの機会と考えてみる
 
■留学中の学びを帰国後に生かすためには?
・目的の明確化/経験の意味づけ/日常への応用
 
■グローバル社会で目指したいリーダー像とは?
・ダニエル・ゴールマン「6つのリーダーシップスタイル」
・ファシリテーター型リーダーシップというあり方
 
なお、後半の授業では、下記の問いを立て、「グローバル人材とは何なのか」を考えるワールドカフェを行いました。
 
問い① 「グローバル社会」で自分らしく生きていくために必要な知識・スキル・態度とは?
問い② また、それらを身に付けるうえで、留学はどのような役割を果たすと思いますか?
 
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最近よく「グローバル人材」という言葉が使われるものの、まずは
・グローバル社会を生きるってどういうこと?
・自分の可能性を生かしながら生きるために必要なこととは?
・留学に行けば”グローバル人材”になれるの?
ということを今一度よく考えてみてほしい、という狙いがありました。
 
最初は、「留学に行くと視野が広がる/忍耐力がつく/タフになる」というところで思考がストップしがちだった学生たちも、
 
「留学に行けば自然と力がつくわけではなく、様々な文化背景を持った人たちと積極的にコミュニケーションを取ろうとすることで、結果的に視野が広がるんじゃないか」
「忍耐力も必要だけど、我慢するだけでは自分を見失ってしまう。意思表示をする努力もしないと」
「こういう態度は、留学に行かなくても身に付ける方法はあるのでは?わざわざ海外へ行く意義とは?」
「自分自身がタフになるだけではなく、困ったときに人を頼るのもスキルのひとつだと思う」
 
など、もう一歩踏み込んだディスカッションを展開できるようになり、思考の幅が広がったのではないかと私は感じました。以下、グループ成果の一部です。
 
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山口県立大学のグローバル人材育成推進事業は、単に異文化コミュニケーション能力を伸ばすということだけでなく、「グローバル視点から地域課題を考える」という明確な目的のもと、地域課題に関するテーマについて調査分析を行い、留学先での研究計画を立て、その研究成果を地域で発表するプログラムがあるなど、アクティブラーニングを重視したユニークな事業なので、今後の展開にも注目したいと思います!
 

【2015/10/16】世界食料デーイベント「WORLD FOOD NIGHT」に登壇しました

 
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10月16日は、国連が定めた「世界食料デー」
食料問題にかかわるNGOや国連機関などが共催するイベント「WORLD FOOD NIGHT-食の問題に対して私たちができること-」に、プレゼンターの1人として登壇させていただきました!
 
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☆あいにくのお天気でしたが、たくさんの方々にお越しいただきました。
 
「世界の食料問題の解決方法」というテーマでプレゼンテーションを依頼されていて、わたし以外の登壇者の顔ぶれ(国際NGOの職員さんなど)を拝見したところ、「グローバル」な目線で活動されている方が多いのかな?と感じたので、わたしはあえて「ローカル」なアプローチ例についてお話させていただくことにしました。
 
ご紹介したのは、以前、イギリス留学中にもブログでレポート記事を書いた、The Real Junk Food Projectのコミュニティカフェの取り組み。満足に食べられず、飢えに苦しんでいる人々がいる一方で、大量の食料廃棄地域における高齢者の孤立化が問題になっているイギリスにおいて、「捨てられるはずだった食料を使ったメニューをカフェで提供することで、地域住民が気軽に集うことのできる場をつくる」という、リーズ発祥のムーブメントです。
 
くわしくはこちら → 「食材は廃棄寸前の商品、料金設定なしのコミュニティカフェを訪れました」
 
「世界の食料問題」、と聞くと、「アフリカの子どもが飢餓に苦しんでいて・・・」という「遠い」話ばかりクローズアップされてしまい、それを「自分ごと」として捉えましょう、と言われたりするけれど、それってとても難しいことなんじゃないかな、と個人的には思います。「ちっぽけな自分には何も変えられはしない」と無力感を抱いてしまったり(そう感じている方々から、プレゼン後たくさん話しかけていただきました)。
 
でも、自分たちの身近なところにある問題(The Real Junk Food Projectで言うと、食料廃棄や高齢者の孤立化)を出発点に考えてみると、見えてくるものもあるかもしれません。わたしのプレゼンが、そんなことに気付くきっかけとなれば、うれしいです。わたしも、地域コミュニティを拠点にした市民の社会参加というテーマに、これからも取り組んでいきます!!
 
☆追記☆
「世界食料デー」月間2015呼びかけ団体による公式イベントレポートもアップされました:
http://www.worldfoodday-japan.net/event/report/?p=774
 

【2015/10/08】法政大学 経営学部 長岡ゼミでゲスト講師を務めました

 
先月の東大ハラケンゼミに続き、法政大学 経営学部 長岡ゼミにもゲスト講師としてお呼びいただきました^^
長岡ゼミは「”ソーシャルデザイン”をベースに各自がもつ問題意識を見つける&深めていくゼミ」だそう。
リンク:長岡研究室ウェブサイト
 
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最初は、声を掛けてくれた学生さんから「シティズンシップ教育について聞きたい!」というリクエストをもらっていたのですが、事前打ち合わせの段階で、ゼミ生の興味・関心が結構幅広いと聞いたので、
 
“国連職員を目指していたわたしが、なぜ「まちづくり」「対話」に携わるのか?”
という、よくある新書みたいな(笑)タイトルで、ここ10年間(18歳~もうすぐ28歳)で移り変わってきたわたしの問題意識や選択について40分ほどお話させていただくことに。
 
ちょうど、前職を退職→イギリス大学院留学→転職 のタイミングで(プライベートのごたつきもあり笑)、人生の第二ステージが始まったなぁという感じがしている今日この頃だったので、わたし自身にとっても考えを整理する良い機会となりました。
 
********************
 
♥カトリックの中学・高校に通っていたわたしの「途上国支援に携わりたい」と漠然とした憧れ。
 
♥セルビアの難民キャンプでボランティアをし、抱いた無力感と不信感。
 
♥国際NGOのユースボランティアとして活動する中でふくらんできた「社会貢献」「国際協力」への違和感。
 
♥運命的に出会ったソーシャルベンチャーのインターンをクビになった苦い経験。
 
♥非営利組織の経営を内側から学びたい、と就職した赤十字でのやりがいとジレンマ。
 
♥青少年対象のグローバル教育プログラムを担当していて感じた「エンパワーメント」の難しさ。
 
♥周りを巻き込むフックを模索し、「かわいい×ソーシャルアクション」というテーマで始めたエシカルWebマガジン。
 
♥行動そのものが目的化してしまいかねない、「エシカル」「ソーシャルグッド」の落とし穴。
 
♥本業×マイプロジェクト、というパラレルキャリアの始まり。
 
♥働きながら勉強を続ける中で出会った、イギリスのシティズンシップ教育。
 
♥「社会貢献」、「ソーシャルアクション」を経てわかった、「市民の社会参加」の意義と課題。
 
♥「地域コミュニティでの対話を通じて、いきいきと社会参加できる人を増やしたい」と考えるようになったわたしが、導かれるようにしてジョインした新しいお仕事。
 
********************
 
と、いろいろ悩んで、行動して、気付きを得て、また違うもやもやが生まれて、新たなチャレンジをして・・・あちこち動き回ってたまに人生の迷子(笑)になるわたしが、いま、ここにいる理由。みたいなものをざーっとお話しました。
(このどれかの要素が、ゼミ生の皆さんの心に引っかかるかもしれないなぁと思い!)
 
わたしの話だけするのも面白くないので、最後に(あまり時間を取れなかったけれど)、「過去に、強い想い(憧れややる気、問題意識)があったけれど、期待どおりにならなかった経験はありますか?そのあと、どんな行動を取りましたか?」というテーマで、3人1組で経験をシェアしてもらうことに。ワークショップ慣れしてしまっている?ゼミだったので、シンプルにお互いの話をしてもらいました。
 
よくある就職試験の面接みたいに「困難な経験をどう乗り越えましたか?」みたいな武勇伝ではなく、「もやもやとしてしまった経験」について語る、という場があってもいいのかなぁと。わたしも、うまく乗り越えられなくて、見なかったふりをしたり、逃げたり、信頼を失ったり、正当化したり・・・ということはたくさんあったので。
 
何か選択をした時点では「正解」だと思えなくても、そのあとの行動の積み重ねで「結果オーライ」になればいい!
(そんなことを、以前ブログに書いて、今でもよく読まれているみたいです→「正しい道を選ぶのではなく、選んだ道を正解にしていくこと 」
 
最後にいくつか感想を聞いてみたところ、
 
「人によって、もやもや→行動、というパターンの人もいるけれど、自分はまず何も考えずに行動→理想と現実のギャップでもやもや、ということが多い。行動パターンは人によって違うんだな」
という気付きや、
 
「世間では、成功体験ばかりよく取り上げられるけれど、本当はそれ以上に失敗だってあるはず。もっとそういうのがシェアされてもいいのでは」
というコメントや、
 
「好きなことで一番になれなくて、一度きっぱり諦めようと思った。でもできなかった。関わり続けていたら、今まで見えてこなかった道が見えてきた」
という経験がシェアされて、興味深かったです。話してくれて、どうもありがとう。
 
長岡ゼミは、共通のハッシュタグで考えをツイートする、というのがお決まりのようで、今回のゼミに関する感想も「#melc2015」というタグで共有されています^^その一部を貼り付けておきますね。
 


 
長岡先生からは、「プライベート」と「パブリック」のバランスが大切だね、というコメントをいただいて、そのテーマに関心をもってツイートしてくれたゼミ生の方も多かったです!
 


 
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とっても自由にお話しさせていただいて、長岡先生のコメントやゼミ生の皆さんの素直なリアクションから、いろいろ刺激を受けました。呼んでくださってありがとうございました~!