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【2015/09/30】東京大学 教養学部の自主ゼミでゲスト講師を務めました

 
NPO法人YouthCreate代表の原田謙介さんが担当する、東京大学 教養学部の前期課程自主ゼミ(ハラケンゼミ)第2回にて、「シティズンシップ教育と若年層の政治参加」をテーマにレクチャーを担当させていただきました。
 
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ハラケンゼミの大テーマは「18歳選挙権時代を考える」というもの。わたしは「海外の政治教育から学ぶ」というテーマでお声掛けいただいたので、つい最近まで英国・ヨークの大学院で研究していた「シティズンシップ教育」についてお話・簡単なグループワークのファシリテーションをさせていただきました。
 
東京大学の学生だけに限らず、様々な大学から合わせて18名が受講してくださいました。
 
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わたしが担当したパートでは、以下の流れで進めました。
 
1. ペアワーク
~シティズンシップ教育の目的について考える~
 
・「現代社会について理解し、//積極的に社会参加するための//知識、態度、スキル等//を身に付けること」とは、具体的にどういう内容だと思うか?
・イングランドで「シティズンシップ」が正式科目として導入された際のカリキュラムと、ペワークで出た意見を比較する。
 
2. レクチャー
~イングランドにおけるシティズンシップ教育の内容と課題を学ぶ~
 
・イングランドにおける「シティズンシップ」教科導入の経緯とは?
・1998年 政府諮問委員会の「クリック・レポート」~2013年 ナショナル・カリキュラム改訂:内容はどう変化したか?その背景にある政治状況とは?
・学校におけるシティズンシップ教育の実践例と、その課題とは?
 
3. グループワーク
~日本でシティズンシップ教育を実践するとしたら、何が必要か考える~
 
◎考えるうえでのポイント
・日本における現代的な課題とは?
・いま・これから必要とされる「積極的な市民」像とは?
・学校教育だけで十分か?
 
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限られた時間だったので、「シティズンシップ教育って結局何なんだ?!」となってしまったらどうしよう・・・という不安も少しありましたが、最後のワークでは模造紙と付せんを使って、どのグループでも積極的にディスカッションがされました!
 
「政治を身近なこととして捉えられるような学びが必要なのでは」
「学校だけではなく、家庭や地域での取り組みも大切」
「教科導入や模擬選挙だけでなく、正解のない問いを議論できるような場が普段からないと効果がない」
など、本質を突くような意見や、
 
「そもそも《善い市民》《あるべき市民像》って何なのだろう?」
「シティズンシップ教育は必要なのかな?」
といった、大切な問いも出されました。
 
グループごとのディスカッション内容を模造紙にまとめました↓↓
 
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今回のレクチャーでは、「そもそも《シティズンシップ》とは?」という話から入らず、海外の政治教育の一例として「シティズンシップ教育」のねらいと課題に焦点を当てたので、受講生の皆さんは疑問や”もやもや”も残っていることと思います。
(終了後、質問に来てくれたり、考えを伝えに来てくれた学生さんがたくさんいました)
 
でも、シティズンシップ教育自体、「正解のない」「変化しうる」ものだとわたしは思っているので、無理に消化する必要はありません(わたしも、まだまだ勉強・実践の途中です!)。
今後も続くハラケンゼミで「18歳選挙権時代を考える」うえで、その問いを持ち続けて、皆さんなりの理解が進んでいくことを願っています。
 
学生の皆さんの様々な意見を聞くことができ、講師のわたし自身も大変勉強になりました。ありがとうございました!
10月は、法政大学のゼミでもお話する機会をいただいています^^
 
☆イングランドだけでなく、ヨーロッパで実践されている【シティズンシップ教育】に関心があるという方や、【社会参加】を促す教育的アプローチについて知りたいという方がいらっしゃれば、グループワークの企画・運営などご相談ください。お問い合わせはこちらのページからお願いします!
 

6年ぶりの再会、スペインへ♥世界は広い。でも意外と近い。

 
イギリスでの修士課程を終えて、旅行しながら日本へ向かっています♪
 
わたしは大学4年生の夏休み(2009年)、スターアライアンスの世界一周航空券を利用してバックパッカー旅行をしていたのですが、その時に出会った友人たちと6年ぶりに再会することができました!
 
当時、デンマーク・コペンハーゲンで同じ宿に泊まっていたサニータ(イギリス・ロンドン在住)にはすでに昨年のクリスマス休暇に再会して、今回また2泊させてもらいました。
 
そのあとはロンドンからスペイン・バレンシア空港へ飛び、6年前スイス・ジュネーヴのユースホステルで一緒だったアナ&モニカ(スペイン・カステリョン在住)のもとへ!!
 
▼当時の写真。懐かしい~
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空港まで、仕事を終えたモニカが車で迎えに来てくれました(Easy Jetが2時間半遅延し、到着が夜11時になってしまって申し訳なかった・・・!)。
 
Facebookでずっと連絡は取り合っていたけれど、直接会うのは6年ぶりだったので、本当にドキドキした!空港で「やっと会えたね~~~!!!」と大喜び。
 
モニカの車でアナの自宅へ。実はアナ、わたしは直前に知らされたのだけど、現在妊娠7ヶ月。そんな大変な時に(6年前に一度会ったきりのわたしを)泊めてくれるなんて、本当にいい人・・・。「まだ普通に仕事もしてるし、大丈夫だよ~」と言ってくれました。スコットランド人のパートナー・イアンのことは以前から聞いていたので、だいぶ大きくなってきたお腹を抱えて幸せそうなアナを見て、とてもうれしくなりました。結婚制度のしがらみが嫌だから、籍は特に入れるつもりない、というのが彼女らしいな。
 
アナもモニカも、スペインの公立学校の教師をしていて、6年前に出会った時は中学校で働いていると言っていたけれど、今は成人向けの専門学校が職場だそう。アナはカタルーニャ語、モニカは英語を教えています。
 
「ジュネーヴのユースホステルでMioと出会ったときは、2人ともパートナーと破局したばかりでズタボロだったから、よし旅に出よう!ってことになった時だったんだよ(笑)」と。デンマークで出会ったサニータもちょっとワケあり?だったし、旅に出る理由ってほんと人それぞれなんだな~(当時のわたしは、「学生のうちに世界一周したい!」っていうだけの理由でした・・・)。
 
そう言えば、「あの時、わたしたちの部屋にいびきのひどい女の子いたよね?!」という笑い話に。いた、いた!6年前のことでも意外と覚えているものです(特にどうでもいいことが記憶に残っていたりする笑)。
 
アナもモニカも学校の先生で、まとまった夏期休暇が取れるので、世界中いろんな国を旅しています。そのせいか、2人ともオープンマインドで自立していて。わたしよりもちょうど一回り年上で、頼れるお姉さんです。英語も不自由なく話せるので、一緒にいてとても楽。
 
平日は働いている2人なので、金曜日の夜~日曜日の朝までという短い間しか一緒にいられなかったけれど、貴重な週末全部を使ってペニスコラとバレンシアに連れて行ってくれました!
 
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わたしが初めて海外に行ったのは20歳になったばかりの春でした。英語も大して話せず、日本から出たことがなかった10代の時は「海外」なんてとても遠くて。一度さよならを言ったら、もう本当に会えない気がしたから、すごく悲しかった。
 
でも、27歳になった今、「じゃあまた、世界のどこかで会おうね!」と前向きな気持ちでお別れのハグができるようになりました。「世界は広いけど、意外と近い」という実感を持てる時代、環境に生きていることが本当に幸せだな、とあらためて。
 
まだまだ他にも、会いに行きたい友人が世界中にいるし、逆に彼らが日本にいるわたしを訪ねてくるときには温かく迎えられるような環境を整えておきたいなぁ。だって、アナの家がすごく素敵で居心地良くて!出産後、子ども部屋として使う予定の部屋が一つ空いていたので、そこを3日間のびのび使わせてくれました。「Mio、タイミング良かったね~!」って(笑)。
 
さて、今日はカステリョンからバルセロナに電車(Euromed、電源もあって快適だった!)で移動し、ユースホステルに3泊します。今回は、どんなルームメイトに出会えるかな?引き続き、日本に戻るまでの旅を楽しみます!
 
帰国まであとちょうど一週間です(待ち遠しいような、まだ帰りたくないような・・・)
 

さよならヨーク!帰国までの寄り道ルート☆

 
修士論文を提出し終えたあとは、この1年間でお世話になった方々にお礼を言うため、毎日あちこち訪ねてまわっていました!
(むしろ、それをするために早めに論文を出そう!と決めていました)
 
▼昨年の夏に受けていた、プリセッショナルコースのチューター、エリー。
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▼ヨークに来て以来ずーっとお世話になっていた、グローバル教育の大先輩・マーゴ。
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▼修士課程、特に修士論文執筆の面倒を見てくださった、指導教官のクリス。
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▼シティズンシップ教育の教授、イアン。彼のもとで研究がしたくて、わたしはヨークを選びました!
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▼昨年夏、わたしが大泣きして困らせた(参考記事)ジャッキー。成長した姿を見せられたかな?^^
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▼5ヶ月間、インターンでお世話になったグローバル教育センターのロジーナとJZ。
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▼そしてヨーク最終日のディナーは、一番の仲良しDream Team(自称)のメンバーと。
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左からジュリアナ(@ブラジル)、マリナ(@モンテネグロ)、わたし、フェデリカ(@イタリア)。
この3人に出会ってから、わたしの生活は楽しいものに変わりました!本当に感謝しています。
別れが辛すぎて、帰りのバスでみんなで泣いたけれど、2018年にロシア・サンペクトブルグで会おうっていうことで一応落ち着きました(笑)その前に、来年の卒業式で帰って来られたらいいな!
 
ほかにも、たーーーーくさんお世話になった方々がいて、出国前に全員に会えなかったり写真を撮れなかったりで残念なのですが、「どうしても直接会ってお礼が言いたい!!」と思っていた方々にはお会いすることができたので、悔いなしです。
 
いつも当然のようにしていたお別れのハグ、これで本当に最後かと思うといろんな想いがこみあげてきて毎回泣きそうに。でも、きっとまた近い将来会えると信じています!(;_;)
 
**********
 
さて、いよいよ9月2日にヨークを出るのですが、
まっすぐ日本には帰りません!
 
▼おそらくパソコンじゃないと表示できないけど、マイマップ作ってみた♥

 
9月2日~4日:ロンドン在住の友人宅(クリスマス休暇中も泊めてもらいました!)で2泊3日。中学・高校時代の友人と、前職の後輩にも会う予定♪
 
9月4日~7日:スペイン・カステリョン在住の友人宅で3泊4日。6年前、世界一周していたときにスイスで出会った友達2人と再会するんです!!楽しみ!!
 
9月7日~10日:スペイン・バルセロナに1人で3泊4日。ユースホステルに泊まるの6年ぶりだ~。ガウディ建築やフラメンコ鑑賞を楽しむ予定です。
 
9月11日~13日:カタール・ドーハ在住の友人宅で2泊3日。大学時代の友だち(日本人)が現地で働いているのです。前回いつ会ったかお互い思い出せないぐらい久しぶりだからうれしい♥
 
9月14日:成田空港着。2週間後には日本にいるなんて、まだ実感わかない・・・
 
と、こんな感じです♪第二の故郷(と、すでに思っている笑)ヨークを離れるのは寂しくて、街を歩くだけでセンチメンタルな気分になってしまう今日この頃ですが、日本に帰るまでの旅行で友人たちと再会できるのはかなりワクワク。
 
最後まで安全第一で楽しみたいと思います~!
 

修士論文を提出しました!概要だけ載せておきます。

 
ついに!!!!!
 
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修士論文を提出してきました!!!!!
 
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一回目のデータ収集がうまく行かなかった時はヒヤヒヤしましたが・・・
何とか、提出期限(9月3日)よりも少し早めに提出することができました。
(わたしは何かと、最後の最後でヘマをやらかしがちなので、印刷後に万が一何かミスが見つかっても直せるように・・・と前倒しで終わらせました汗)
 
わたしの修士論文のテーマは、
“The Perceived Influence of Service-Learning on The Citizenship-Related Attitudes of Japanese Undergraduate Students”
 
意訳すると、「サービスラーニングがシティズンシップ関連の態度に対して与える影響について、日本の大学生がどう認識しているか」というものです^^
 
☆サービスラーニングとは、簡単に言ってしまうと「学校での授業(知識)」+「社会奉仕活動(経験)」+「リフレクション(振り返り)」がセットになった教育プログラム。日本では1990年代後半から徐々に導入する大学が増えてきましたが、まだ発展途上。
【参考記事】日本の大学教育改革と「サービスラーニング」導入状況
 
論文の頭(イントロダクションの前)に書いた、300語程度の概要(Abstarct)を英・日両方で載せておきます。実際の論文は13,000語ぐらいありますが「あ~、こういうこと論文に書いてたのね~」と何となく伝われば・・・!
 
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The main aim of this study is to explore the perceptions of Japanese undergraduate students regarding the influence of a university’s service-learning programme on their citizenship-related attitudes, such as their personal development, their personal interest and responsibility, and their behavioural willingness to participate in philanthropic and political activities.

 
(この研究の目的は、大学のサービスラーニング・プログラムがシティズンシップ関連の態度、たとえば自己成長や興味関心、責任感、慈善的または政治的行動への意欲などに与える影響について、日本の大学生の認識を調査することである。)
 

This dissertation explores the two main traditions of education for democratic active citizenship, English citizenship education and American service-learning, and presents a common critique for both approaches about the lack of political literacy aspects.

 
(この論文は、民主主義的アクティブ・シティズンシップのための教育における2つの主な様式である、イングランドのシティズンシップ教育とアメリカのサービスラーニングについてまず探り、次いで政治的リテラシーという観点の欠如という、両アプローチに対する共通の批判について示す。)
 

There has been a recent increase in attention to educational approaches regarding social participation in Japan and some universities have introduced service-learning programmes. Whilst some previous studies in the US have reported that service-learning can have a positive influence on the participants’ personal development, there are only a few studies regarding its influence on their philanthropic and political participation.

 
(日本では近年、社会参加を促す教育的アプローチに対する注目が高まっており、いくつかの大学ではサービスラーニングを導入している。過去のアメリカでの研究では、サービスラーニングは参加者の自己成長に対してポジティブな影響を与える、ということが報告されてきたが、彼らの慈善的または政治的参加への影響についての研究は、数が多くない。)
 

The main research question in this study is: How do Japanese undergraduates perceive the influence of service-learning on their attitudes after participating in the programme? The study focuses on a Japanese private university and the perception of undergraduate students who experienced service-learning in the last two years. Thirty-three students completed a questionnaire and five of these students were subsequently interviewed.

 
(この研究のリサーチ・クエスチョンは、「日本の大学生たちは、サービスラーニングが彼らの態度に与えた影響について、プログラム参加終了後にどのように認識しているか?」。ここでは日本のとある私立大学で、過去2年間にサービスラーニングを経験した学部生の認識に焦点を当てる。33名の学生が質問票に、うち5名がその後のインタビューに回答した。)
 

The findings indicate a low perceived influence of service-learning on the participants’ confidence in making a difference in society. Many students do, however, express a willingness to help others in difficulty, but their willingness to engage in political action is low.

 
(得られた結果が示すのは、参加者の認識として、「社会に変化を起こすことができる」という自信に対してサービスラーニング経験が与えた影響が小さかったということである。また、多くの参加者が「今後、困っている人を助ける」ことについての意欲を示したのに対して、「政治的行動に参加する(日本語補足:選挙での投票、政治的リーダーへの意思表明、デモへの参加など)」意欲は低かった。)
 

This dissertation argues that service-learning programmes can be successful in raising participants’ awareness of their interest in community issues to some extent, but it might not be enough to empower them to take action based on social justice activism. This dissertation suggests that well-structured reflection to understand the root causes of community issues and constructive dialogue and deliberation on controversial issues are required.

 
(この論文が主張するのは、サービスラーニング・プログラムは、地域が抱える課題に対する参加者たちの関心はある程度高めることに寄与できるが、彼らが社会正義の理念をベースに行動を起こすよう力づけるには不十分かもしれない、ということである。したがってこの論文は、地域の課題の根本的な原因について理解するための良く構成されたリフレクションと、物議をかもすような問題について建設的に対話・討議する場の必要性を提案する。)
 
**********
 
こんな感じです(かなりざっくりですが)。
 
自分のリサーチはあくまでもケーススタディで、論文に占める比重は、過去の文献研究(Literature Review)が大きいです。これまで行われてきた研究の中にあるギャップを自分なりに分析し、それを埋めるためのリサーチ・クエスチョンを立てて→結果をもとに議論を展開する、という流れです。
 
帰国後、報告会なり何かしら還元できる場があれば・・・と思いつつ、そこまで手が回るかちょっと不明なので、便乗できそうな機会があればお声掛けください(笑)。
 
ちなみに、現時点では修士論文を「提出した」というだけで、フィードバックがもらえるのは帰国後の10月、修士号取得の最終審査結果が出るのは11月の予定です。
 
☆そのほか、修士論文に関する過去の記事は「#修士論文」のタグでまとめてあるので、ご興味のある方はそちらからどうぞ~。
 

留学生活をもっと充実させたい人にオススメする15のこと

 
このブログを読んでくださっている、「これから留学したい」もしくは「現在留学しています」という方々から、
 
「もっと行動範囲を広げたい!」
「いろんなことに挑戦したい!」
「たくさん友達を作りたい!」
 
という相談を、最近良く受けます。
わたしも、イギリスに来て最初の1~2ヶ月(プリセッショナルコース受講中)は、
 
「せっかくイギリスに来たのに、中国人学生だらけだ・・・笑」とか、
「寮と教室の往復だけで終わらせるのはもったいない!」
 
というモヤモヤを抱えていたので、気持ちはとても良くわかります。
でも今では、本当にたくさんの友人やコミュニティに恵まれて、帰国するのが名残惜しいほどです><
 
留学生活って、案外、無難に行こうと思えば無難に過ごせちゃうもの。
たしかに勉強は忙しいけれど、だからと言って、それだけで終わらせたくない!
という人のために、わたしがこの一年間で実際にやってきた15のことをまとめてみました。
 
「自分の学部や寮だけでなく、コミュニティを広げたい」
「授業以外にも学びの場を広げたい」
 
と考えている人の参考になればうれしいです。
 
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▲今年6月にヨークで行われたLGBTパレードの時の写真。お気に入りの一枚!
 

まずは大学でチャンスを見つけよう!

1. ソサエティーに所属する
 
ソサエティーとは、日本の大学で言うとサークル団体みたいなもの。
入学の時期(9~10月)になると、新入生歓迎会イベントの一環でソサエティー・フェアが実施される大学も多いと思います。
ダンスや音楽などのパフォーマンス系や、料理などの文化系、あとはマジックを研究するソサエティーなども?!
フェアに参加してみて、楽しそうな団体があればメーリングリストに登録してもらうといいかも。
最初の1ヶ月は、部費を払わずにイベントに参加できたりするので、いろんなソサエティーを渡り歩いてから決めるのもあり。
 
ちなみにわたしは、どこのソサエティーにも入りませんでしたが、スゥイングダンス・ソサエティーのレッスンやインドネシアン・ソサエティーのフードイベント、演劇ソサエティーの舞台発表など、友人たちと誘い合わせて良く遊びに行っていました♪
 
2. 寮や学生団体が主催するイベントに参加する
 
わたしの通っているヨーク大学は「カレッジ制」(ハリーポッターの組分けのイメージ笑)を取っているので、学生は9つあるカレッジのいずれかに所属しています(わたしはグッドリック)。バーベキューやクルージング、ハイキングやハロウィンパーティーなど、各カレッジが定期的にイベントを開いているので、フラットメイトと良く参加していました。同じカレッジの学生と知り合える良い機会!
 
あとは、学生自治団体(おそらくどこの大学にもある)が毎月のように日帰り旅行を主催していたので、それに参加してニューキャッスルやマンチェスター、湖水地方へ行ったこともあります。バスを貸し切って行くので、場所によっては自分で電車のチケットを取るよりも安く、移動も楽でした。旅行先でたまたま合流した子たちと仲良くなり、一緒に観光することも。
また、International Conversation Afternoonという、紅茶を飲みながら英語で会話を楽しみたい人のためのゆるいイベントも毎週行われていました!
 
3. 全学部共通の選択授業を取る
 
自分の専攻コースの授業に加え、余裕があれば選択授業を取ってみるのもオススメです。
わたしは、古典ラテン語(難しすぎて途中でドロップアウト笑)や、留学生のための英会話の授業をプラスで取っていました。普段の学部の授業で会うメンバーとはまた違う学生と出会えるチャンスです。
 
4. 大学の一般公開講座を受ける
 
これは、友達を増やすためというよりは学びの場を増やす、新しい刺激を受けるための方法。
「オープン・ユニバーシティ」と呼ばれる、地域住民向けの講座を開いている大学も多いと思います。
ヨーク大学の場合、公開講座の情報を毎週送ってくれるメーリングリストがあったので、大学のウェブサイトを通じて登録し、興味のあるテーマで実施されるときは聴講しに行っていました。英語のリスニング学習にもなります!
 
5. ランゲージ・エクスチェンジをする
 
Language Exchange、つまり自分が学びたい言語をネイティヴ・スピーカーから教えてもらう代わりに、自分は日本語を教えてあげる、ということ。「日本語を勉強したいスペイン人学生」などがいたら、パートナーになってもらうのもいいかもしれません。
わたしは、プリセッショナルコース期間中だけ、日本文化に興味のある中国人の男の子と、お互いにオリジナルのプリントを作って教え合いっこしていました。
 
6. パーティーを企画する
 
自分ひとりでパーティーを開くのはハードル高い・・・という人も、たとえば他の日本人学生と一緒に学生寮で「日本食パーティー」を企画して、「誰か新しい仲間を連れてきてね!」とフラットメイトに声を掛けてみるとか。わたしが過去にやったのだと、巻き寿司をみんなで作ろう!という「Sushi Night」などは盛り上がりました!生の魚が苦手な人も多いので、野菜なども用意すると◎。あとは、それぞれが自分の国の料理を作って持ち寄るポットラック・パーティーも楽しいと思います♪
 
その他は、誕生日会や送別会など、主役が自分でパーティーを企画するという人も多いです(日本ではあんまりないかも!)。Facebookで簡単にイベントページを作って、仲の良い友だちを招待して、行ってみたかったお店にみんなで行く・・・というだけでも十分!わたしたちは、パブで飲んで→クラブで踊って→朝に帰る(ぐったり)、というのが一つのパターンでした。笑

キャンパスから街に出てみよう!

7. ボランティアをする
 
街で開かれる文化イベントの1日ボランティアに参加したり、チャリティ・ショップで週に何日かお手伝いをしたり。自分のスケジュールに合わせてボランティアに応募してみるのもオススメ。特にイギリスはチャリティ活動が盛んなので、インターネットで検索すればたくさん情報が出てくると思います。
 
わたしは、ヨークの街中で科学者たちがワークショップを開くという家族向けイベントで受付のボランティアをしたことがあります。周りの友人では、街の観光ガイドボランティアや、図書館の書架整理ボランティアなどをしている子たちがいました!新しい友人も増えるし、大学とはまた違うことが知れる機会になるはず。
 
8. インターンシップをする
 
ボランティアだけでは物足りない!という人は、インターンも良いかもしれません。大学のコースによっては、カリキュラムの一環として組み込まれているところもあると思います。無給のインターンが多いかも。大学のキャリア・オフィスでインターン情報を提供している場合もあるので、もし関心のある企業や団体を見つけたら、CV(履歴書)とカバーレターを送ってみましょう!
 
わたしが5ヶ月間ほどインターンしていたのは、グローバル教育センターという教育系NPOで、自分の前職の経験や大学院での研究を実践に移せる、また現場での状況を知ることができるという理由で選びました。
【参考】「違い」から生まれる対立を解決するには?【前編】
 
9. アルバイトをする
 
留学先で新しい経験が得たい!あと生活費も稼ぎたい!という人は、街のレストランなどでアルバイトに挑戦してみると良いかもしれません。ただし、ビザの種類によって条件が変わってくるので(例:週20時間までは働ける、など)事前に調べておく必要があります。
 
わたしは、2014年10月~2015年8月末まで、だいたい週2日ずつ11ヶ月間、キャンパス内のカフェでバイトをしていました。学業との両立は確かに大変でしたが、同僚がほぼ全員イギリス人、という中で(いろんな意味で)だいぶ鍛えられましたし、何より接客の仕事が楽しかったです♪
【参考】【イギリス留学】良くある質問まとめ【バイト編】
 
10. 留学生向けのイベントに参加する
 
これは街にもよるかもしれませんが、ヨークにはFriends Internationalというキリスト教系のチャリティ団体の支部があり、毎週月曜日の夕方に留学生向けのイベントを企画してくれていました。「短い留学期間だけど、イギリスの文化に慣れ親しんでほしい」という想いから、伝統的なクリスマスディナーや、イースターにまつわるお話、ボードゲーム大会・・・など、楽しい催しものがいっぱいで、地元住民や、ヨークにもう一つある大学の留学生たちと仲良くなれる場でした。
 
11. インターネットで街のイベントを探す
 
上に書いたような団体がない!という場合は、CouchsurfingMeetupなど、世界各地にネットワークのある団体のウェブサイトから、自分の街で開催されるオフイベントを探してみるのもよいかも。都会であればあるほど、イベントの数も多いです(ヨークは少ない笑)。
 
12. 街の教会を訪れる
 
国や街によりますが、ヨークはキリスト教のプロテスタント系教会が多く、たとえキリスト教徒ではなくても(基本的には)クリスマスやイースターなどの礼拝に参加することができます。また、聖書の勉強会やアフターヌーンティーが開かれることもあるので、わたしも教会に通っている友人に誘われて行ったことがあります。宗教、文化、歴史は強く結びついているので、留学先の国や街のことを深く知り、敬意を持つために、教会に足を運んで地元の方々にお話を聞いてみるのも一つの方法です。

街の外に飛び出してみよう!

13. シンポジウムや講演会に出席する
 
自分の住んでいる街にこだわらなければ、大学での勉強にも生かせるような学びの場がたくさんあることに気付くと思います。シンポジウムや講演会、ワークショップやトレーニングなど・・・わたしもこの一年間でたくさん参加してきました。
 
まずは、自分の関心のあるテーマ(たとえばわたしなら、シティズンシップ教育、グローバル教育、人権、ユース・エンパワーメントなど)で活動している団体をインターネットで探したり、教授に紹介してもらい、メーリングリストやニュースレターに登録するところから。もちろん参加費や交通費がかかる場合もありますが、キャンパスの外で得られる学びにも価値があるとわたしは思います♪「4. 大学の一般公開講座を受ける」にも書きましたが、英語でのスピーチなどに触れる良い機会でもあります!
 
14. 学会に出席する
 
これは、学部生よりは大学院生向けですが、自分の研究分野に関連する学会に出席(聴講)するのもオススメです。さまざまなバックグラウンドを持った研究者たちの発表が聞けて、研究欲がかなり刺激されるはず!!わたしも、時間とお金に余裕があればもっといろんな所に遠征したかったな~。
【参考】ICEDC学会レポート「多文化環境における教育:人権のための闘い」
 
15. 一人旅をする
 
友だちと一緒に行く旅行ももちろん楽しいですが、週末や休暇期間を利用して一人旅してみると、また違った景色が見られると思います(もちろん、身の安全を第一に!)。CouchsurfingAirbnbで現地の人から部屋を借りたり、イギリスであればHost UKでホストファミリーを探したり、もしくは世界中に施設があるHostelling Internationalのホステルに泊まったり。安く、しかも現地の人や観光客と知り合える旅行の方法はいっぱいあります♪留学生活で、息が詰まってしまったときや、マンネリしてきてしまった時には、ぜひ一人旅をしてみてください~。
 
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以上、「留学生活をもっと充実させたい!」という人にオススメしたい、15のことをまとめてみました。
これから留学する人、今まさに留学中の人。皆さんが限られた時間の中でもたくさんの刺激と学びを得られるように、陰ながら応援しています~~~!!!
 

「戦後70年」ポリタスの特集記事/「対話の場づくり」の必要性

 
津田大介さんが編集長を務めるウェブメディア「ポリタス」が、特集「戦後70年――私からあなたへ、これからの日本へ」を展開しています。下の写真は、特集ページのスクリーンショット。

 
その特集のコンセプトは、「今年の8月15日に国民と世界に向けてスピーチをするとしたら、あなたはどんなスピーチをしますか?」というもの。「いまこの戦後70年という節目の夏に、多様な文化・歴史的素養を持つそれぞれの論者による未来志向のスピーチを集め、それを一覧して読者に提示したい」(抜粋:ポリタス特集「戦後70年――私からあなたへ、これからの日本へ」を開始します)という言葉のとおり、同じテーマに対して様々な視点で書かれた寄稿記事が淡々とアップされていて、どれも分量的にも読みやすく、いろんなことを考えさせられます。
 
その中から、いくつか印象に残った部分を(自分があとで読み返すためにも)抜粋してまとめてみます。
 

昨日まで私は日本国の首相でしたが、今日はもう首相ではありません。と言っても辞任したわけではなくて、暗殺されたんです。で、今日は首相ではなく死人として、もとい詩人として、じゃなかった私人として一言申し上げます。

▲元記事:死して首相は愚痴を残す(谷川俊太郎)
 
※ これは印象に残った箇所というか、書き出しの部分なのですが。詩人の谷川俊太郎さん、さらっとした文体だけど、想像力がかき立てられる(ツイッターでも、いろんな解釈が飛び交ってしました)さすがのスピーチです。
 

こうした世論の力を有効に使って核保有国を動かすための大切な柱は、「法の支配」「話し合いによる問題解決」、そして「科学の力」です。昨年から今年にかけて起きた世界の重要な動きはこの線に沿っています。(中略)残念ながら日本政府は、こうした世界の動きを感知できず、アメリカの顔色だけを窺っています。(中略)現在の日本の状況は、周回遅れという点では大日本帝国の二の舞としか思えません。

▲元記事:未来を先取りして今を変えよう――被爆70周年に考える(秋葉忠利)
 

君たちには、考える頭があります。その考えを伝える言葉があります。だから、いま目の前にあるぶつかり合いを、暴力ではなく、話し合いによって解決することができるのです。場合によっては、2人の思いが完全に満たされる解決策は見つからないかもしれません。きっと、そういう場面のほうが多いことでしょう。ならば、おたがいが少しずつ我慢したり、譲り合ったりするしかない。それぞれ、何を我慢できるのか、どこまで譲れるのか。それをとことん話し合ってほしいのです。

▲元記事:息子たちへ(乙武洋匡)
 

私は日本に生まれ、フランスの学校で育ち、アメリカの大学に学び、いままた日本で仕事をしながら生活しています。私は日本という国を愛していますが、それは国家を愛するということとは意味が違います。(中略)私にとって国とは、その場所に住んでいてその顔を思い浮かべることのできる個々の友人や家族に加え、そこに根付く文化の総体を意味しています。そして、文化とは互いに融け合うものです。

他者を否定して内に閉じこもるのではなく、逆に肯定して自らのうちにしなやかに取り込むこと。業と見なすか、したたかさと見るかはさておき、この他者との差異を尊重し、敬意と謙譲を必然的に育む文化的な技術において世界に類を見ない歴史を持つことこそが、日本という「国」の構造的な美しさであり、偉大さなのではないでしょうか。

▲元記事:豊かで複雑で美しい「生命」のような国へ(ドミニク・チェン)
 

わたしは、それぞれの幸福を見つける力、そのイメージを自分の言葉で語る力、自分とは違う幸福の形を認める力を次の世代にあげたいし、自ら行使します。自分と違う生き方をする人間に、心配の衣を着せた呪いをかけるようなことがありふれ過ぎています。人並みはずれた才能か情熱を持った人間しかその呪いを覆せない世界なんて、絶対に間違っています。

▲元記事:この国を、複雑な幸福を守れる国にしたい(メレ山メレ子)
 

私たちが考えることをやめて、全てを権力に任せてしまったときに、静かに戦争が始まります。立派な意見が言えなくて、自分に自信が持てないかもしれません。それでも、自分の中にある「違和感」を無視せずに「私はこれはおかしいと思う」「私はこんな社会はいやだ」と、小さくてもそうやって声を上げること。これはとても大切なことです。(中略)マイノリティが生きやすい社会は、マジョリティも生きやすい社会です。

▲元記事:声を上げ続ける――レズビアンである私の視点(東小雪)
 

「戦後70年」という言葉のなかには、唯一日本人こそが歴史の主人公であるという傲慢さが無意識的に隠されています。それは周辺地域の困難な歴史を見えなくさせ、その言説化への抑圧に加担してしまうのです。こうした一元的な時間認識を相対化し、さまざまな戦後を思考することから、日本人は新しく歴史を認識しなければなりません。ひょっとしたら「戦後」なるものが存在しているのは日本だけかもしれないのです。韓国でも、パレスチナでも、チベットでも、存在しているのはただ「戦争中」だけかもしれないのですから。

▲元記事:「戦後70年」というものはない(四方田犬彦)
 

(植民地支配や侵略など)その責任の多くは「国」、つまり政府と軍部にあります。けれども、多くの国民が、その誤った国策を支持したり、協力したことから目を背けるわけにはいきません。そのような国民意識を育んだのは、教育とジャーナリズムだったと思います。
当時とは異なり、今は国民が主権者です。政府に国策を誤らせない責務が、国民にあります。教育やジャーナリズムの責務は、かつてより増していると言えるでしょう。

▲元記事:過ちを繰り返さないための、わたしたちの責務(江川紹子)
 
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などなど。どの意見が正しい、間違っている、ということではなく、様々な立場の人の意見を寄稿記事という形で読めるので、「こういう考え方はしたことなかったな」とか、「恥ずかしながらこれは知らなかったな」など、あれこれ考えを巡らせながら一つひとつの記事を読んでいます。これからも増えるのかな。
 
わたしはいま、イギリスにいて、日本のニュースをインターネット(新聞、ウェブメディア、SNSなど)を通じて追っているわけですが、特に安保関連法案に関する動きなどを見ていてここ最近感じるのは、「完全には理解できていない。でも、何か違和感を感じる。このままじゃいけないと思うけれど、具体的にどう行動していいかまではわからない」という人たちが多いんじゃないかということ。そういう状態でも、「確固たる自信がなくても、対話を通じて自分たちなりの答えを探れるような場所」が必要なんじゃないかということです。
 
たとえば連日話題になっている、安保関連法案反対デモ。わたし個人的には、デモは民主主義社会において、とても重要な市民行動だと思っています(やり方の良し悪しはあるかもしれませんが)。ただ、SNSのタイムラインを見たりしていると、実際にデモに参加している人、または支持している人の発言が、先ほど書いたような「何かしなきゃとは思うけれど、その”何か”がわからない」という人たちを、かえって萎縮させてしまっている(温度差を広げてしまっている)のではないか、という印象を抱くことがあるのです。興味、関心、違和感⇒デモなどの政治的行動、とすぐに移行できる人はそんなに多くないと思うし、その間をつなぐ「安心して不安や問題意識を共有し合える対話の場」が(安保関連法案だけに限らず)今の日本には圧倒的に足りないような気がしています。
 
そんな個人的な気持ちもあって、今回のポリタスの特集のように、様々な視点から一つのテーマを考えるきっかけになるような取り組みが、何かいいな、と思ったのでした。もし興味が湧いたら、読んでみてください。