昨年、わたしの母校のライフガイダンス冊子に寄稿させていただいたのですが、それを読んだ在校生(高校2年生)が感想をお手紙形式で書いてくれました!わざわざイギリスまで送ってくださった担任の先生方、ありがとうございます。うれしいです。
▼寄稿記事はこちら。
母校のライフガイダンス冊子「La vie heureuse」に寄稿しました
同じ冊子に掲載されている他の卒業生の皆さんと比べると、わたしはまだまだ経験が浅いのでエラそうなことは言えないのですが、現役高校生の子たちと年齢が近い卒業生として(と言っても10歳離れてるけど・・・笑)、伝えたいなと思うことを書きました。
・“私立中高一貫のカトリック女子校”という場所は、狭い世界だったけれど、たくさんの愛情に守られて過ごした6年間は、何にも代えがたい財産。
・中学・高校時代というのは、人間性の基礎を作り、キャリアを考える上での原点となり、大人になってからも自分の心の支えとなる大切な期間。
・想いだけでは何も変わらないけれど、行動し続ければ夢に近付ける。わたしもまだまだ、目標に向かって進んでいる途中。
・定期試験の結果や文理選択、大学受験は、その先の人生をすべて決定付けるわけではない。大切なのは、親の期待や社会的評価といった“他人のモノサシ”ではなく、自分が大切にしたいこと、叶えたい夢を考える“自分のモノサシ”を持つこと。

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後輩の皆さんが小さな字でびっしりと書いた感想文(お手紙)を寄せてくれました。その中からいくつか抜粋して載せさせていただきます。
・わたしも、もっと広い世界を見てみたいと思うことが沢山あります。でも、晃華にある大切なものにも、もっと目を向けてみようと思いました。卒業して、もっと大人になってから気付くかもしれませんが、今からでもここでの生活を大切にしようと思いました。
・この学校だからこそ学べたことや自分の価値観は、社会に出て自分が知らなかったいろいろな文化の中で暮らしてきた違う価値観を持った人と接するときにも、きっと役立つのだろうと思いました。だから、この学校で学ぶ時間や友人との付き合いを大切にし、社会で役立てていきたいです。
・高校2年も終わりに近付いてくると、大学合格が最終目標のようになってしまい、将来の自分に姿など全然想像せずに日々過ごしていることに気付かされました。いま私は、病気やけがで苦しむたくさんの人を自分の手で助けたいという夢があります。夢を夢のままで終わらせたくないので、本気で頑張っていきたいと思いました。
・私も“他人のモノサシ”で自分の人生をはかっているかもしれないと思いました。この職業の方が社会的に認められやすいんじゃないかとか、この職業は大変だと聞いたのでやめようとか、将来の夢がコロコロ変わってしまうのです。自分も、今はまだ夢が明確には見つからないけれど、“自分のモノサシ”で自分が本当に興味のあることや惹かれることを探して、大学生活を送りたいです。
・私は今、海外のことに興味を持ち、大学でも国際系に進みたい!と考えていますが、具体的にどんな道を歩みたいかと聞かれると漠然としすぎていて難しいと感じてしまいます。でも、自分のやりたいことに自分で制限をかけるのではなく、きちんと向き合って実現させたいと思うきっかけになりました。
・私の周りの友達は、もうすでに自分の進みたい道や大学について決まっているような感じで話をする人が多いですが、色々なことに興味がありすぎる私にとって、進路を決めるのはとても難しく、友達と話すたびに焦りが募り、不安になってしまいます。でも、齋藤さんの文章を読んで、「自分は自分なんだから、自分としっかり向き合って、自分なりに一生懸命考えて決めていけば大丈夫」と思えました。
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・・・などなど、わたしが書いた拙い文章から、それぞれに想いを広げてくれて、それを言葉にして伝えてくれたかわいい後輩のみんなに、逆に私が元気をもらいました!高校2年生、大学受験を控えてあれこれ悩む時期ですよね。わたしもそうだったなぁ…。でも、「18歳の進路選択で、人生が全て決まるわけじゃない。すぐに芽が出なくても、志を持ち続けていればいつかきっと道は拓けるよ」っていうメッセージが伝わったらうれしいな。
卒業生の声を集めたライフガイダンス冊子を制作するだけでなく、それを読む時間をしっかり取り、自分の言葉に落とし込むところまで流れを作った先生方にも感謝。母校のライフ・キャリア教育が、どんどん素晴らしいものになっているなぁと感激しました。
わたしを6年間育ててくれた母校の名に恥じないよう、引き続きわたしも自分の道で頑張ります!
Blog
【修士論文】7つのリサーチ・ステップと便利なWebサービス
3月も中盤に差し掛かり、イギリスの暗くて寒い冬も終わろうとしています(・・・と信じたい)。
キャンパス内で感じられる春の訪れ。早く暖かくならないかな~!

さて、先日、教育学部のライブラリアン(司書さん)が、修士論文執筆に必要なリサーチプロセスについてセミナーでプレゼンしてくれました。今後、リサーチを進めるにあたって役立つ情報がいくつかあったので、忘れないうちに箇条書きでまとめておきます。
1. Identify
・自分が調べたいトピックについて、問いを立てる(=リサーチ・クエスチョン)。
・どんな情報を集める必要があるか、整理する。
2. Contextualise
・自分のリサーチのコンテクスト(文脈)を把握する。
→トピック全体の大きな絵を思い浮かべ、自分のリサーチがどのその中でどこに位置するのか?
・リサーチの目的/文脈/情報源/限界について整理する。
3. Plan
・どんな方法で情報を検索するのか、何のリソースが入手可能なのかを把握する。
・しっかりとした情報収集のプランを立てておくことは、長い目で見れば時間の節約につながる。
・自分のリサーチ・クエスチョンを、いくつかの小さい質問に分解する。
・各質問の重要な単語(key terms)の類義語や別の表現で言い換えた言葉のリストを作る。
(わたしの例:community involvement / service learning / volunteeringなど)
4. Explore
・偏りなく様々なデータベース、検索エンジンから情報を収集する。
①大学図書館のデータベース(Library catalogues)
②学際的なリソース(Multidisciplinary resources)
- Scopus(スコーパス):世界最大級の抄録・引用文献データベース
- Web of Science:自然科学、社会科学、人文科学分野の論文データベース
- Google Scholar:細かい検索はできないが、キーワードだけで簡単に調べたい時には便利。
③主題別に特定したリソース(Subject specific resources)
- たとえば、教育学の分野であればERIC(Education Resources Information Center)の書誌データベース(bibliographic databases)など。
④専門家のリソース(Specialist resources)
- 統計資料、一次資料、新聞など。
⑤Web 2.0(参考文献としては使えないが、情報収集の手段として)
- 自分の研究分野に関連するブログ
- 関連団体のTwitter、Facebook
- Addict-o-matic(ソーシャル・メディアのリンクをキーワードで検索できるサイト)
5. Gather
・複数ワード検索などをうまく利用する。
・多くの書誌データベースでは(サインインすれば)自分の検索履歴が残せるので、それを活用する。
6. Evaluate
・自分が集めた資料はリサーチ・トピックに関連性があるか?
・引用の数が少なすぎたり多すぎたりしていないか?
・偏りなく、幅広いリソースから情報を集めたか?
7. Organise
・アプリを利用して、集めたリソースを記録しておく(どこから取った情報なのか明確にしておく)。
- EVERNOTE
- Google Drive
・引用文献管理ソフトウェア(Reference management software)を活用する(これすごく便利!!)
- EndNote(←うちの大学のオススメ)
- Zotero
- MENDEREY
・・・ざっとこんな感じです。手当たり次第に文献を検索してあとで迷子にならないように、ウェブサービスを上手く活用していきたいと思います!
「3.11」から4年。「赤十字職員」ではなくてもできること。
昨年の3月末に赤十字を退職してから、はじめて迎えた3月11日。
今年は、これまでの「3.11」とは少し違う想いで過ごした一日でした。
赤十字職員ではなくなった今、被災地に職務として行くことはありません。そういった「直接的な」支援に比べたら、成果がすぐ見えにくい教育のフィールドでできることは「遠回り」すぎるんじゃないか。そう感じてしまうこともありました。
でも、防災や災害救護といった活動も、わたしが研究しているグローバル教育やシティズンシップ教育といったアカデミック(学術的)な視点も、持続可能な社会を作っていくためにはどちらも必要なことだと、最近やっと、自信を持って言えるようになりました。

☆震災後、宮城に派遣された時の写真。あれからもう、まだ、4年。
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この世界は、本当に複雑にできていて、異なる立場の人たちがそれぞれの目的、思惑、理念を持って動いています。どれが正解だと言うのはむずかしい。
教育のアプローチひとつを取っても、学者全員が納得する答えはなく、それぞれのやり方に優れている部分、足りない部分が必ずあるのだ、ということが、最近になって良く見えるようになりました。ヨーロッパの教育は、日本では良い面ばかりクローズアップされがちですが、パーフェクトな方法なんて何ひとつないし、(学術的には)定義が曖昧なことも多いし、すべてが発展の途中だと感じます。
全てを理解しようとすると、頭の中がこんがらがって迷子になりかけるけれど、わたしは赤十字(だけでなく、その他複数の組織)で培った経験、そこで抱いた問題意識が根底にあるので、それらをアカデミックな視点で捉え直すことで、自分の立場がクリアになってきているのを感じます(特にここ1~2ヶ月)。
まだまだ学びたいこと、学ぶべきことはたくさんありますが、「シティズンシップ教育」という一つのレンズを通して、教育に対する自分の問題意識や、進んでいきたい方向などが、少しずつ頭の中で整理されてきました。今は、それを寄稿記事やエッセイ(レポート)、修士論文の形でまとめるべく、奮闘中です。ブログでも、引き続き発信していくつもりです。
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2011年3月11日に起きた東日本大震災から、4年。
悲しいことだけど、災害がこの世界からなくなることは、おそらくないだろうと思います。
それを前提に、ただ「忘れない」と言うだけではなく、過去の教訓をどう未来に繋げるか。
教育のフィールドで、何を伝え、持続可能な社会にどう貢献できるのか。
5年目に突入した今、その問いと問題意識を常に持ちながら、残りの大学院生活もじっくり腰を据えて研究に励んでいきます。
【DEAR連載③】演劇を通じて学ぶシティズンシップの可能性(2015年2月号)
DEAR(開発教育協会)の会報誌「DEARニュース」で、隔月の連載記事を持たせていただいています。
タイトルは、【ヨーク大学院留学記〜イギリスに学ぶ地球市民教育〜】。
本来、DEAR会員限定の出版物なのですが、発行後に許可を得たうえでこのブログでも寄稿記事をご紹介します。
☆これまでの連載記事は、「DEAR連載」のタグからまとめて読めます。
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■第3回 演劇を通じて学ぶシティズンシップの可能性
昨年末、The Joseph Rowntree Schoolというコンプリヘンシブスクール(公立の総合制中等学校)を訪問し、Year13(18歳)の演劇(Drama)の授業を見学させていただきました。その内容をレポートする前にイングランドの教育制度について少し触れておきます。
まず、私がヨーク大学で研究している「シティズンシップ(Citizenship)」は、2002年以降ナショナルカリキュラムの中でYear9~10(13~15歳)の必修教科に位置づけられており、簡単に言うと「積極的な市民として社会に参加するための理解とスキルを身に付ける」ことが目的です。日本にはない教科ですが、公民や政治・経済、道徳の時間と重なる部分があるかもしれません。
今回お邪魔したのは中等教育の最終学年の授業で、生徒たちは大学進学に必要な「GCE Advanced Level(通称: A Level)」という試験教科(通常3~4科目)の一つとして演劇を選択しています。自分たちでテーマや筋書きを決め、3月の最終発表会に向けて練習中とのことでした。
さて、今回の訪問の目的は、演劇の授業とシティズンシップの関連性を探ることです。あるグループが選んだテーマは「吃音」。うまく言葉を発することができない主人公の内面の葛藤や公共の場における人々の反応などを、身体の動きとモノローグで表現する予定です。

「これは演劇での授業だけど、シティズンシップと関係があると思う?」という質問に対して、「はい。吃音に限らず、言語障害などを抱える人の気持ちを理解することは市民として重要なこと。観客の意識も変えられるような作品にしたい」とある生徒は答えてくれました。
しかし、あくまでも大学進学に必要な教科であり、「発声や身体表現などの技法面を主に評価されるので、社会的なテーマに意欲的に取り組んでも点数に反映されるわけではない」という難しさを挙げた生徒も。シティズンシップを実践的に学べる演劇の可能性を感じた一方、教科として評価することの課題について考える契機となった授業見学でした。
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★DEAR(開発教育協会)入会のご案内はこちらのページから。
「違い」から生まれる対立を解決するには?【後編】
先日ご紹介した、ダイバーシティ(多様性)ワークショップ前編のレポート。
日本の学校の先生や教育系NGOのスタッフ、青年海外協力隊員として海外で活動されている方やワークショップのファシリテーションをお仕事にしている方など、たくさんの方々から反響がありました!読んでくださって、ありがとうございます。何かの参考になればうれしいです。
さて、今回の記事では、後編のレポートをお届けします。
☆前編をお読みになっていない方は、こちらからどうぞ↙↙
「違い」から生まれる対立を解決するには?【前編】
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前回、Greenhill Primary Schoolの5年生クラスを訪問したのは約10日間前。前回のワークショップの時にお休みしていた生徒が2名加わり、今回は30人で行います。グローバル教育センターからはロジーナ、JZ、わたしの3名。クラスの担任・副担任(アシスタント・ティーチャー)の先生が2名、サポートに回ります。
■前回の振り返り(10分)
まずは、前回行ったワークショップの振り返り。ロジーナが一つひとつ質問を投げかけていきます。生徒は積極的に手を挙げるので、次々に指名して、答えを言ってもらいます(同じ生徒に偏らないように気を付ける)。
◎背中に貼ったシールでグループを作ったとき、どんな問題が起こったかな?
◎グループに入れなかった2人は、どんな気持ちがしたかな?
(ここで、10日前に行ったワークショップですが、その時の2人の顔をスタッフがきちんと覚えていて、直接質問をするのがポイント。)
(また、大人が期待するような答えを強要しない。2人のうち女の子の方は、「悲しかった」と答えましたが、前回「わかんない」と答えた男の子は、今回も「うーん…」と考え込んでいたので、ロジーナが「ハッピーだったかな?」と質問。その子は「うん」と答えましたが、それに対してロジーナは「そう考える人もいるかもしれないね。でも、排除(exlusion)されると悲しくなる人が多いかもしれないね」とフォローをしていました)

◎「The Island」の物語に出てきた島民と、漂流してきた男の人は、どんな違いがあったかな?そこで起こった問題と、島民の対応は何だったかな?
◎もしもイギリスの島全体が大きな壁で覆われたら、どんな問題が起こるかな?
(前回、「島の周りを高い壁で覆ったことによって、何が起こると思うか?」という質問に対して生徒たちはピンと来ていないようでしたが、今回は「自分たちの国が同じ状況になったら?」と考えさせる質問に自然に変えていました。
※また、一人の生徒が「島で育てられる食べ物が限られちゃう」と答えた際に、「パイナップルを普段食べる人?オレンジは?バナナは?」と簡単に手を挙げられる質問も加えることで、外から輸入しているフルーツが食べられなくなる、という日常生活に落とし込んだ視点も取り込んでいました)
◎みんなの前で、イギリスに来たときの話をしてくれた女性の名前は覚えているかな?彼女はどこの国出身だったかな?コミュニティに参加するために、どんな行動を取ったのかな?
(ここで、前回は詳しく触れなかった時代背景も簡単な言葉で少し説明をします(ウガンダからインド系住民が追い出されたことなど)。また、ロジーナ生徒たちからの回答を踏まえながら、「多様性(diversity)や違い(difference)が問題を生み出すこともあるんだね」というまとめのコメントをしました)
■マンダラ制作の説明(10分)・作業(30分)
前回のワークショップ後半で、生徒たちは紙にマンダラ(自分にとって大切なものを文字や絵で表現したもの)の下書きを済ませています。今日は、それを基に布に直接描きこむ作業です。これが最終的に大きな一枚のキルトに貼り付けられ、クラスの壁に飾っておく形になります(下の写真は、他の学校で制作した例)。

線はフェルトペンで縁取り、大きなパーツの色塗りはパステル(布用)でやるといいよ、など説明をしたあと、各テーブルに画材を配布していよいよ作業スタート!前回お休みしていた2人には、個別で説明をします。

「騒がない!」「立ち上がらない!!」と担任の先生に注意を受けながら(笑)、生徒たちはワイワイと作業に取り組みます。

ちなみに、前回の記事にも書いたとおり、このマンダラ作成のねらいは「自分が大切にしている/したいもの」をイメージした一人ひとりのマンダラを描き、それを全て並べてクラス全体で大きな作品にすることで、「多様性(ダイバーシティ)を認めあうコミュニティ」を可視化すること。最終的な作品に載せる宣言(statement)を考えるため、生徒たちが作業しているテーブルをスタッフが回り、「コミュニティの良い所って何だと思う?(What is good about community?)」と質問を投げかけ、生徒たちの意見を汲み上げます。

☆生徒たちからは、こんなアイディアが出されました!
・友だちと楽しく遊べる。
・何か問題が起きたときに、みんなで解決できる。
・一つのチームとして、一人ひとりがベストを尽くせる。
・一人ぼっちにならなくて済む。・・・など
■短い絵本の読み聞かせ(15分)
さて、ここで一旦マンダラを描く作業を中断し、「TUSK TUSK」(David Mackee, 1978年)という短い絵本をスライドに映し、JZが読み聞かせをします。”TUSK”というのは、象の牙のことです。
ちなみにこの本は邦訳も出ているようです:「じろり じろり~どうしてけんかになるの」(デビット・マッキー著、はら しょう訳)
この作者は、「象のエルマー」などの絵本でも有名ですね(カラフルなパッチワークで描かれた象が主人公です)。
とても短いストーリーなのですが、簡単にご紹介しますね。
~あらすじ~
むかしむかし、黒い象たちとと白い象たちが、住んでいました。
彼らは、世界中のすべての生き物を愛していました。
ところが、お互いに憎み合うようになり、それぞれジャングルの反対側に分かれました。
ある日、黒い象たちは白い象たちを、白い象たちは黒い象たちを殺すことに決めます。
平和を愛する一部の象たちは、ジャングルの奥に逃げ込み、それ以来彼らの姿は見られなくなりました。
残った象たちは長い間戦いを続け、最後にはどちらも絶滅してしまいました。

何年かたったある日、平和を愛した象の孫たちがジャングルから出てきました。彼らはみんな、灰色の象でした。
それから象たちは平和に暮らしました。
しかし最近、小さい耳の象たちと大きい耳の象たちが、お互いをけげんな目で見るようになっています。
(おしまい)
*画像はこちらから取りました。
ここで、ロジーナが子どもたちに質問をします。
・どうして争いが起こってしまったのかな?
・なぜ灰色の象が出てきたのかな?
・このあと、物語はどうなると思う?
生徒たちは「大きな耳の象と小さな象が一緒になって、今度は中くらいの耳の象が生まれる!」
「でも鼻の長さが違ったりしたら、またケンカになるかも」
「牙の大きさとか・・・」
「しっぽの長さとか・・・」
そこでロジーナが、「そうだね。色とか耳の大きさとか、小さな違いがきっかけで問題が起きてしまうことがあるよね」と声を掛けます。
「みんなの暮らしている世界でも、いろんな違いがあるね。信仰(faith)や領土(teritory)、言語(language)の違いは、戦争が起きてしまう理由の一つになりうるね。みんなが前回やったシールのワークショップや「The Island」の絵本でも同じように問題が起きたことを覚えているかな?何が欠けていたから、ああなってしまったんだと思う?」
すると一人の生徒が、「コミュニケーションが足りなかったんだと思う」と声を挙げました。
ロジーナはそれをフォローし、「その通り!コミュニケーションを取って自分の意思を伝えること、相手を理解しようとすることを大切にしないといけないね。みんなが持っている小さな違いを尊重することで、コミュニティが成り立つんだね。そのことをもう少し考えながら、マンダラを描いてみよう!」
※このワークを最初にやらず、マンダラ制作の途中にはさむ理由は?と後でロジーナに尋ねたところ、
・1時間通して作業の集中力を保つのが難しいので、少し手を休める時間を取るため
・ただの「お絵描き」で終わってしまわないよう、あらためてマンダラを作る理由を考えるため
だと教えてくれました。
■マンダラ仕上げ(30分)
いよいよ、マンダラ制作作業の最終段階。みんな「自分にとって大切なもの」を思い思いに表現しています♪
アイディアが煮詰まったり、うまく色を塗れなかったりしている子がいたら、スタッフが手を貸すこともあります。
また、「ここに書いてあるのは、家族の名前かな?」など作業中に声を掛けることで、生徒一人ひとりが描いているストーリーに耳を傾けます(中には、マンダラに込めた物語を語ってくれる子も)。
▼自分の国や、自然を描いたり・・・

▼好きな歌手の名前や・・・(テイラー・スウィフトのファンだそう)

▼家族や友だちの名前をぐるっと・・・

▼フットボール、男の子たちに人気でした!

▼前回よりも、今回の方がクラスの先生たちが積極的に関わっていたのが印象的でした。

完成~~~!!!!!



無事、時間内に全員が満足のいく形で作業を終えることができました(学校の授業時間を使って行っているので、これがとても大事!)。スタッフがいくつかのマンダラをクラス全体に紹介し、「それぞれが大切だと思うものが、いろいろあるね!」とコメント。みんなのマンダラは一旦グローバル教育センターで預かり、1枚の布パネルに統合したあと、約4週間後にクラスへ返却、という流れになります。
■まとめ(5分)
最後に、ロジーナからコメント。
「これまでみんなで、多様性(diversity)や違い(difference)について考えてきました。これらが生み出す問題に焦点を当てるのか、それともその解決策を考えるのかによって、結果は大きく違ってきます。みんなが作ったマンダラは、1ヶ月ほどで教室に戻ってきます。それを目にするたびに、ここでみんなで考えたこと、話したことを思い出してね」
これでしばらく、自分のマンダラとはお別れだよ、と声を掛けると、一斉に「バイバーイ!!」と手を振った、かわいい生徒さんたちでした^^
***
さて、ここまでお読みいただいて、いかがだったでしょうか?グローバル教育やダイバーシティ教育の実践をされている方、またこういったテーマにご興味のある方にとって参考になる部分があればうれしいです。
わたしが2日間セットのワークショップに同行してみて、実践する上で大切だと思った主なポイントは以下の5つ。
◎一つひとつのワークをコンパクトにまとめ、生徒を飽きさせないこと。
・・・とにかくテンポが良く、無駄がありませんでした。でも、生徒が次々に手を挙げる質問の時には、どんどん指名して発言させていました。ワーク→質問→ワーク・・・と交互に時間を設けるのがポイントだと思います。
◎一方通行で「教える」のではなく、細かく質問を投げかけることで生徒から答えを「引き出す」こと。
・・・Educateの語源は、ラテン語で「外に導き出す」。まさにワークショップで必要なことだと思います。スタッフがコメントを出すのは、生徒から答えが出そろってから。先に大人の言葉でまとめてしまうことは避けているのが印象的でした。
◎どの生徒がどんな発言をしたか、把握しておくこと。
・・・たとえば前編のワークショップでグループに入れなかった生徒を覚えておいたり、まとめの段階で「さっきあなたが『コミュニケーション』という言葉を挙げてくれたように・・・」とフォローをしたり。全体に向かって話しながらも、一人ひとりをきちんと見ているよ、という姿勢を見せることが大切だと感じました。
◎シンプルな言葉に絞って伝えること。
・・・大人が簡単に使いがちな「差別(discrimination)」や「対立(conflict)」といった言葉を使わず、「多様性(diversity)」「違い(difference)」「問題(problems)」などの同じ言葉を繰り返し使うことで、生徒たちの理解を容易にしていると感じました。
◎「違い」があることのプラス面とマイナス面、両方をバランス良く伝えること。
・・・みんな違って素晴らしい!というだけでは非現実的。かといって負の部分だけを強調するのもNG。「ささいな違いで問題はすぐに起こりがちだけれど、それを解決する方法をみんなで考えよう」というメッセージを、ワーク全体を通してうまく伝えていました。
これからもわたしは、ヨーク大学修士課程で「グローバル市民教育」を理論的に研究しながら、インターン先のグローバル教育センターでワークショップや教師対象のトレーニング運営を実践的に学んでいきます。またのレポートをお楽しみに♪
☆グローバル教育センター(Centre for Global Education York)のウェブサイト
http://www.centreforglobaleducation.org/
秋学期の成績発表と、ひそかな野望について。
秋学期(Autumn term:10~12月)の成績が、2月中旬に発表されました!

[Photo via everycollegegirl.com]
わたしのメインモジュールは、エッセイ(レポート)が2本と、試験が1つ。
それぞれの結果と教授からのフィードバック、イギリスの大学院の成績基準などについてご紹介します!
☆それぞれのモジュールの具体的な授業内容については、以下の記事をご覧くださいね。
>>秋学期(9~12月)の授業&活動まとめ
■大学院の成績基準について
試験もエッセイも、50点以上で合格です。合格・不合格の中で、次のようにランクが分かれています。
☆Pass(合格)
Distinguished*(優) 100 – 70 *Distinctionと同じ。
Merit(良) 69 – 60
Satisfactory(可) 59 –50
☆Fail(不合格)
Marginal fail(埋め合わせ可能) 49 – 40
Outright fail (埋め合わせ不可)Below 40
エッセイの場合、70点以上取れれば上出来、80点代はネイティブでも滅多に取れないという基準なので、日本の大学の成績評価と比べると、「え?!こんなに低いの?!」と驚かれるかもしれません(ただし、ペーパー試験やプレゼンテーション、グループプロジェクトなどでは80点以上取ることも可能だと思います)。
なお、評価基準は細かく分かれていて、あらかじめ学生にも公表されています。エッセイで言うと、「内容・議論」「構成」「レファレンス(参考文献)等の使用」「語彙と表現」「文法」の5つのセクションごとに点数が付けられ、総合点数と全体のフィードバック(教授からの評価コメント)が返却されます。
ちなみに、試験もエッセイも自分の氏名を書いて提出することは禁止されており、試験番号のみ記入することになっています。つまり、評価の公平性を保つために、匿名で点数を付けられるということです。
実際は、誰が描いたのか、エッセイの内容からある程度推測できる場合もあると思いますが(例えばわたしは、クラスで唯一の日本人学生で、日本の人権教育をめぐる課題について書いたので、バレていることは間違いない。笑)、基本的には採点者には分からないよう配慮されています。
■わたしの成績発表!
こんな風に、オンラインで結果を見ることができます。不合格になることはまずないだろうと思ってはいたものの、やはり確認する瞬間はドキドキ。

やったー!最高ランク(Distinguished)が2つと、2番目のランク(Merit)を1つもらえました!
エッセイについては、オンラインの結果だけでなく教授から個別のフィードバックをいただいているので、その全訳を(恥ずかしげもなく・・・)ここで公開します。将来、イギリスの大学院で勉強したいな、という方が少しでも雰囲気をつかめればと思います。
ただし、試験(リサーチ・メソッド:72点)については特に個別フィードバックはないので、ここでは省略します。
①Citizenship education(シティズンシップ教育):70点(Distinguished)
わたしのコース(グローバル市民教育)の必須モジュール。わたしは「シティズンシップ教育に関するイングランドのナショナルカリキュラムと日本の学習指導要領の比較検討」というタイトルでエッセイ(5,000語)を書きました。実は、担当教授が支持しているバーナード・クリック(イギリスがシティズンシップ教育を正式教科として導入する際、政府のアドバイザリーグループの座長として貢献した人)の施策を真っ向から批判する内容なので、教授にどう評価されるか内心ドキドキしていたのですが、思い切って書いたところ意外にも良い点数をもらうことができました。
***教授からのフィードバック***
☆Searching sources(情報源の探究)
素晴らしく幅広い資料を読み込んでおり、英語・日本語両方で書かれた文献を良く使っています。異なる分野の最新データや文献(政府資料から学術資料まで)を使っていることが評価に値します。
☆Analysing data and ideas(データとアイディアの分析)
とても良く書かれたエッセイです。重要な用語について明確なアウトラインを示し、相違点と類似点について興味を引き付けることで、あなたが選んだトピックの背景について注意深く描写しています。全体的に、あなたの議論は説得力があります。
私が思うに、あなたはOsler, Starkey, Figueroaによって主張されている立場の込み入った部分を、うまく言い紛らわせてしまう傾向があります(※おっしゃるとおり、この3人の主張の一部に偏りすぎたかなという反省あり)。Crick(クリック)は現代におけるシティズンシップの特性を明確に表さなかったという意味で責任があったかもしれませんが(※これはわたしのクリック批判(多様性尊重という視点の不足等)を受けたコメントです)、多様性に関する特定の問題への注目度を高めようとしていた圧力グループのアクションに対して抵抗しようとしていた、とも言えるかもしれません。
Kiwanの文献(特に人権教育について書かれたもの)とCrickの’essays on citizenship’(’friendly arguments’の章は大変興味深いです)をさらに読んでみると良いでしょう。
イングランドと日本の比較をする際に、各国の状況を個別に述べるよりも、ある特定の課題やテーマに絞ってもっと明確に議論を展開することもできたかもしれません。
☆Written communication(ライティングによるコミュニケーション能力)
ライティングも構成も良くできているエッセイです。
☆Other comments on the assignment(その他のコメント)
あなたは重要なトピックについて効果的に取り組みました。
☆Targets for improvement(改善に向けた目標)
Osler, Starkey, Figueroaの立場に反する主張についても考慮しましょう(また他の立場についても気を配ること)。これらのテーマについて、国家的な文脈ではないエッセイの構成も考えてみましょう。

②Education and Social Justice(教育と社会正義):69点(Merit)
選択モジュールとして取っていた授業。「社会正義と人権尊重の促進は、教育者の役割か?」というタイトルを選んでエッセイ(5,000語)を書きました。日本の部落問題・同和教育を例に挙げ、人権教育をめぐる政治的対立について論じました。書いていて、私自身もかなり楽しかったですし、proof reading(文法やスペリングのチェック)をしてくれたネイティブスピーカーの方も「興味深い内容だった」と言ってくれたエッセイだったので、結構自信がありましたが・・・「私が70点以上を付けることはめったにない。昨年の最高点は69点」と教授が言っていたとおり、70点の壁を越えられませんでした(悔しい!)。でも期待通りの評価がもらえて自信に繋がりました!
***教授からのフィードバック***
☆Searching sources(情報源の探究)
人権教育についての定義と異なる視点を述べるにあたって、政策、経験に基づく情報源(ソース)の両方を上手く活用できています。
また、テーマについて詳しく言及することで、異なるソースに関するあなたの分析を完全に裏付けている点が評価できます。あなたはAPAスタイル(※教育分野の学生が使わなければならない、引用スタイル)に正確に、そして一貫して従っています。
☆Analysing data and ideas(データとアイディアの分析)
あなたの導入章(イントロダクション)は素晴らしいです。エッセイの背景(コンテクスト)と議論の要点を明確に述べています。
この複雑な課題に対する様々な視点について、完全に考慮できています。そのことによって、人権教育とそのメリットに関する単純かつ理想論的な議論の展開を回避できています。
あなたは、人権について(about)/のために(for)教えることの区別に触れています。その議論への理解を容易にするために、日本における大変興味深いケース・スタディ(※部落問題・解放運動を例示しました)を用いています。しかしながら、学術的な分析や批判の参照が不足しているため、やや記述的な議論に陥ってしまっている所が見られました。
☆Written communication(ライティングによるコミュニケーション能力)
あなたのライティング・コミュニケーションは大変素晴らしいです。あなたの文章は流暢で、文法もスペリングも間違いがありません。
また、流れるような明確な議論を組み立てるために、適切な言語を用いています。
このエッセイを通して、あなたの「声」がはっきりと聞こえてきて、熱烈な興味と自信を持って書いていることが伝わります。そのため、読み手を楽しませることができています。
☆Other comments on the assignment(その他のコメント)
(特に記述なし)
☆Targets for improvement(改善に向けた目標)
記述的な議論を避けましょう。ケース・スタディを引き合いに出したり、具体例を挙げる時にも、あなた自身の議論をサポートするために学術的な分析や議論を活用するように心がけること。
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■まとめ。
今回、イギリスの修士課程で初めて、エッセイ課題に成績評価が付けられました。そこから学んだ、高評価を得られるエッセイのポイントを自分なりにまとめてみます。どれも当たり前と言えばそれまでなのですが、やってみると簡単ではないものです…。
■「記述的(descriptive)」ではなく「分析的(analytic)」に。
・・・5,000語(A4用紙1枚およそ250語とすると20枚)のエッセイを1本書くために、少なくとも30以上の文献や資料を読み込むのですが、いろいろ読んでいざまとめようとすると、「この学者はこう言っています、他の人の意見はこうです、結論はこれです」と既存の議論をうまくまとめただけのエッセイになってしまいかねません。
でもそうではなく、「こういう主張が出されています、でもこういう批判も考えられます」と自分なりの新たな視点を加えて議論を展開しなければ、高評価はもらえません(もちろん、それを裏付けるための学術的な論拠がさらに求められるのですが)。
実は、学期の途中でアウトライン(1,000語)を出した時点では、どちらのエッセイも「良く書けているけれど、記述的すぎる(批判的分析が足りない)」という指摘を教授から受けていました。それでも合格点(50点)はもらえるのですが、70点を取るためにはもっと分析的な議論が必要だと言われたので、冬休み中は文献を読み漁り、「この学者が言っていることや、世間的に評価されていることは、本当に正しいのか?」という視点で自分のアイディアを組み立てるようにしました。
■お行儀の良いエッセイよりも、教授に挑戦を挑むつもりで。
・・・前にも少し書きましたが、わたしの必須モジュールである「シティズンシップ教育」のエッセイでは、(最初はそんなつもりはなかったのですが、最終的に)教授が支持しているクリック・レポートを批判的に考察しました。教授の立場に真っ向から異を唱える内容だったので、論拠不足な部分はすぐに見抜かれる(つまり点数に繋がらない)だろうな・・・と内心怯えていたのですが(笑)、返却されたペーパーを見てみたところ、挑戦的に議論を展開した部分ほど教授のチェック(=高評価のポイント)が付けられていました。日本では「いかに正解に近い答えを出すか」にこだわってきたように思いますが、日本の学校で良い点数がもらえる「作文」とイギリスの大学院で高評価が付けられる「エッセイ」は明確に異なるものだということを実感しました。
■「書きやすそう」なタイトルよりも、読み手に熱意が伝わる「書き甲斐のある」ものを。
・・・特に今回、「教育と社会正義」のエッセイでは、私が元々強い問題意識を持っている人権教育について取り上げたので、かなり熱が入りましたし(文字通り、知恵熱が出るんじゃないかと思うぐらい、書いていて興奮しました笑)、書き終えた後の手応えもありました。そのため、「読み手を楽しませている」という教授からのコメントは、本当にうれしかったです。
自分でタイトルを考えられる修士論文と違い、学期末に課題(assignments)として出されるエッセイのタイトルは教授から与えられた複数の候補の中から選んだものです(※自分で考えるモジュールもありますが)。数週間かけて執筆するエッセイなので、「書きやすそう」に見えるタイトルよりも、「書き甲斐がありそう」なものを選んで、苦しみながら書く方がよほど身になると思います。その点、「イギリスのシティズンシップ教育と比較することで、日本の教育について客観的に研究したい」という明確な意思を持って大学院留学して正解でした(書きたいテーマがある程度決まっているので、熱意を持ってエッセイに取り組めるからです)。
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さて、やっと秋学期の成績が返却されたところですが、あと3週間で春学期が終わり、次の課題が待ち受けています。また引きこもりの日々が始まる・・・(笑)。決して楽ではありませんが、今回で何となくコツがつかめたような気がするので、気持ちに少し余裕が出来たかな?
実は、わたしには一つ大きな目標があります。それは、
MA with Distinction(「優」評価の修士号)を取ること
です!
そのための条件は、「修士論文を含めて、全モジュール平均で70以上のスコア」。
わたしの秋学期の成績平均は、(72+70+69)÷3=70.3・・・ギリギリ!
なので、春学期はこれ以上の成績を取れるよう、引き続き頑張ります。
